本会は、退職栄養士など30名ほどで構成する全国唯一の組織。30年以上にも及ぶ自主活動を続けています。中野区においても、給食調理業務の民間委託は進んでいるものの、栄養士と調理業務の区分を重視。同一事業者への一括委託は避け、さらには営利に走らないよう、高齢者会館の業務委託や配食サービスなどで実績のあった非営利の法人を受け皿とした経緯があります。
中野区は最大で22校を委託していましたが、統廃合などもあり、今年度の委託数は小中39校中19校。ここでの献立は統一となっています。ところが、この法人が、7年目にして、学校栄養士業務から撤退する意思を突如表明、中野区では来年度の対応に追われています。江戸川区のように、同一事業者への一括委託はしないことは決定していますが、具体の善後策については未だ示されておらず、注目されるところです。ちなみに当区では来年度、福祉部門において、2名の栄養士を採用するとしています。
今回、このNPO法人が撤退する理由は、その重責ゆえに「栄養士の高齢化により持続が困難」とされていますが、やはり待遇面の要素は大きいと言えます。学校栄養士は、他の施設に比べて、業務遂行の負担が大きい中、年収は一人340万円ほど。特定非営利活動法人にとっては、社会保険料の事業主分も大きな負担であり、継続するにはせめて年収400万円は必要だといいます。また、同じ学校栄養士でありながら、献立を立てさせないなど、その職務に差をつける行政の姿勢にも問題意識があるようです。これは、昭和60年の旧文部省通知「「献立の作成は、設置者が直接責任をもって実施すべきものであるから、委託の対象としないこと」によるものでしょう。
第4回江戸川区議会定例会でこの点を指摘された江戸川区長は「この通知こそ見直すべき」と発言。中野区のNPO法人代表も、給食現場の最前線に民間として関わってきた立場において、同様の所感を持っています。
江戸川区では、各校の栄養士がパソコン専用ソフトを活用して献立を作成しており、今後委託校においても民間栄養士が同様に献立をつくることとし、校長と、区教委に一人配置されている栄養士がその献立を確認。必要なら変更することで、設置者が責任を持つことに変わりはない、としています。