八ッ場ダムとスーパー堤防

勘違いの河川行政

河川行政のカラクリを説くジャーナリスト・まさのあつこさん
河川行政のカラクリを説くジャーナリスト・まさのあつこさん
 20日(日)午前、「スーパー堤防・街づくりを考える会」の集会に参加しました。
 毎回、前半は区内の伝統文化の紹介、後半は治水やまちづくりについての勉強会となっています。この日は、甲和焼きと篠崎風鈴について製作者の方々の悲喜こもごものお話を伺ったあと、ジャーナリストのまさのあつこさんが「八ツ場ダムの真実と河川のあり方」について、公式データや緻密な取材をもとに、ダム検証のカラクリ、その結果、勘違いした河川行政が行われている実態を指摘、問題を共有しました。当日の報告を載せたまさのさんのHPはこちら

 八ツ場ダム中止は、何も政権交代で急浮上したことではなく、すでに1983年から会計検査院がその問題点を複数回指摘している、自治体首長の推進理由の根拠なきすり替え、ダムがあった場合の被害軽減額がなぜか年々増加しているなど、どれも興味深い内容。報道されることもないこうした事実を多くのみなさんに知っていただきたいと思います。

 ご存じのとおり、江戸川区は利根川水系江戸川の最下流域に位置しながら、なぜか、遠く離れた八ツ場ダムが必要と、高らかに宣言している数少ない自治体のひとつです。八ッ場ダムの目的は、下流への水の供給と下流の洪水調節。

 東京都の水は日量200万㎥も余っていることは、都のデータに明らかですし、下流の洪水調節について、八ツ場ダムができると、江戸川の水位はどの程度下がるのか、という重大ポイントについて、区の認識は「下がらない」。国交省江戸川河川事務所の見解は「わからない」。

治水・利水両面において、江戸川区が八ツ場ダムを必要とする根拠はどこを探しても見当たりません。流域自治体として、上流の八ツ場ダム推進の声を上げることが、下流のスーパー堤防事業推進に有利、そんなバーター取引でもあるのか、と思えてしまいます。

 この日、午後からは、北小岩当該住民と区土木部長との3回目の対話集会。そもそも住民は区長との対話を望んでいますが、区長は今回も登場せず。
 反対住民から「盛り土はかえって危険。スーパー堤防、盛り土とは切り離して、通常の区画整理としてできないのか」という提案がなされましたが、「事業計画は変更しない」と即答。

 区が治水対策で重用し、スーパー堤防推進の旗振り役であった中央大学の山田教授でさえ、国のとりまとめが出る以前から「全部できることなどない」と、前言撤回しています。

 当該住民は悩み苦しんだ末、歩み寄りの対案を出している、区としても事業推進には課題山積であり、事業の長期停滞は避けられない・・。こうした事実を直視し、区の姿勢そのものが元凶であることに、いい加減気付くべきです。