製造メーカーは、エレベーターの保守部品について、製造中止から25年を経過したものは供給を停止すると相次いで発表しています。供給がとまるのは発電機やモーターなどの基幹部品。これらに不具合が生じれば、機種によっては、その時点でエレベーターが使用できなくなる事態にもなり、いわゆる、エレベーターの2012年問題といわれています。都市開発費では、この問題への区の対応をただしましたが、質問通告の段階では所管は把握していなかったようでした。
すでに25年を経過した区の管理によるエレベーターは、区役所西棟(オーチス)、障害者施設の虹の家(オーチス)と希望の家(その他)、保養施設の穂高荘(三菱)、校外施設の日光林間学校(日立・区のリンクなし)の5台です。
エレベーターの事故と言えば、5年前に港区のマンションで、扉が開いた状態でエレベーターが上昇し、高校生が犠牲になった事故、翌年、六本木ヒルズで、ワイヤーロープの一部破断から火災が発生した事故がありました。今年7月には、練馬区の東京メトロ平和台駅で、三菱電機製エレベーターが上昇中に急に落下、乗客が閉じ込められ、軽傷を負う事故が発生。3本あるワイヤーロープがすべて破断していたといいます。
エレベーターは、法律に基づき、年に1回の定期検査と報告が義務付けられ、1ヶ月から3ヶ月に1度機能検査も行われることとなっています。今夏の事故でも、昨年9月にその定期検査が行われていたものです。
これを受け、国土交通省は、特定行政庁に対し、同社製のエレベーターワイヤーロープについて、緊急点検とその報告について通知。区では、点検の結果、問題はなかったということです。
しかし、2012年問題はこれとは別の次元。善良な保守メンテナンス事業者であれば、契約の相手方に対し、部品がないことがわかった場合、状況を丁寧に説明するでしょうが、そうした事業者ばかりではないのもまた事実です。5年前の事故では、孫請けの事業者が、点検したと報告したものの、実はしていなかったことが後でわかりました。
エレベーターは、言うまでもなく、なくてはならないバリアフリーの重要施設。法定償却耐用年数は17年でもあり、区は、部品切れの機種なのかどうか、まずは5台の機種を早急に点検すべきです。必要とあれば、1ヶ月ほどかけて、かご(箱)ごと変えなければなりませんが、大元の制御盤やモーターなどを新しい部品に変えるだけなら4日ほどで済むといいます。