学校栄養士民間委託導入案、不十分な説明

16日(金)、区議会文教委員会を傍聴して

「学校栄養士業務の民間委託導入案」について、江戸川区教育委員会の主な説明は以下のとおり。

●民間委託導入の理由
非常勤職員は、数年で辞めるケースが多く、年度内退職もある。週30時間、1日6時間勤務であり、3時には業務を終える。こうした時間制約の中で、校内での連絡調整がうまくいかず、研修活動もできない、ひとり職場なので困ったときの相談もできない、特に、経験のない人には栄養士業務を一人で担うことが困難など、限界にきている①(注:稲宮)。来年度からは新規非常勤の採用はしないが、在職の非常勤の方には引き続きやっていただく。
●来年度実施予定校
現在、非常勤職員をあてている12校、これに今年度で退職する区採用の栄養士1名、1校分を合わせ、13校。人事異動もあるので、どの学校かは未定。
●民間委託校の決定時期
11月末②
●事業者選定
現在調理業務は77校(106校中)が民間委託、計18社の事業者が参入している。この中から、しっかりした事業者③を選んでいく。仮に5社とすれば、一事業者2〜3校ということ。選定委員会は、校長会、PTA連合会、栄養士会、学校医、保健所、教育委員会で構成。
昭和60年の文部省通知への対応
 「献立は委託対象外」とした通知には抵触しない。校長と区教委に一人配置されている栄養士が確認④、必要なら変更し、献立には責任を持つ。
 
① について。そもそも、常勤が必要な職場に非常勤をあてるという考え自体誤り。教育の場に、こうした職場環境を設定し、拡大した責任は重大。人材の善し悪しを問う以前の問題。江戸川ネットでは、行財政改革の必要性も認識しつつ、以前から非常勤職員の処遇改善を求めてきた。「すくすくスクール」のサブマネージャーしかり、非常勤職員がなぜ辞めていくのか? その原因究明をしたか? 非常勤の中に職層を設け、昇格・昇給を図り、当事者のスキルを活かし、意欲を保つ。こうした対策を検討したか?

② について。この領域を民間委託するとなれば、正規職員と同様の業務が果たせているのか、それをチェックするしくみの構築が必要。今後、詳細なチェックシートをつくり、1年に一回チェックする、と言うだけで、今回はその中身が示されず。また、重要業務を担う人材の人件費についても、一方の契約者としての考えを示すべきでは? これまでも議会質問してきた、現在の公務員給与をもとにした標準人件費の考えを持つべき。これがなければ、民間も人材確保に苦慮するのでは? 今回の方針転換の重要なポイントについて、提案内容が不十分。

③ について。説明の中で何度も繰り返していたが、現在の18社はそもそもしっかりした事業者のはず。この説明では、これまでの事業者選定の姿勢が問われるというもの。

④ について。栄養士は専門家。その専門家がつくった献立を、この分野の専門家ではない校長先生がチェックすることは現実的か? また、民間委託校が増えていく中では、区教委に一人しかいない栄養士を増やす事態になりかねない? 

江戸川区の財政は、実質公債費比率がマイナス2.5%と、全国トップの健全ぶり。この上さらに教育現場にも切り込むことが必要か? 行財政改革も、過ぎたるは及ばざるがごとし。江戸川ネットは、決算特別委員会教育費で意見を述べていきます。