ちょっと待った! 区を挙げてのスーパー堤防促進署名活動

事実を知って冷静な判断を

 25日、今年最後の第四回定例会が開会しました。
 区長は招集挨拶の中で、先の事業仕分けに言及。仕分け結果について「憤っている」とし、22日に津川政務官に会い、北小岩と篠崎について事業を続行したい旨を伝えたところ、「最終判断ではないので、十分検討する」との回答を得たこと、現地視察を要請したことを紹介しました。

 さらに驚くべきは、連合町会長連絡協議会会長を代表とする「江戸川区スーパー堤防整備促進区民の会」を立ち上げ、各地区の連合町会をはじめとする区内の各種団体88団体の代表者たちが中心となって「スーパー堤防などの壊れない強固な堤防整備を求める意見書」の署名活動が始まっているということです。目標署名数は10万筆とも聞こえてきます。

 この運動について、区は、あくまでも区民が主体となったもの、としていますが、果たしてそうでしょうか。行政主導の署名活動であることは明らかです。ある地区の自治会では、署名用紙に添えられた自治会長名の通知文に「区からの要請があったので署名をお願する」と真実が記されています。

 それにしても、区を挙げての、この常軌を逸した行動はどうしたことでしょう。なぜここまで本事業に固執する必要があるのか、全く理解に苦しみます。要望文のタイトルに「スーパー堤防などの」と「など」が入っていることが、いくらか正常とも受け止められますが、ならば、このような大げさな行動を起こす必要など全くありません。 

 事業仕分けで「廃止」との判定を受けた際、区は「命を仕分けられた」とのコメントを発表しましたが、何とも飛躍し過ぎです。なぜなら、零メートル地帯における治水事業が不要である、と仕分けされたものではなく、20年以上前にできた制度でありながら遅々として進まず、完成時期や総事業費、費用対効果が不明確である「スーパー堤防(という手法)を廃止すべき」としたものだからです。今後も治水対策が必要な地域については、これに替わる工法で河川整備を実施することに異論などあろうはずがありません。

 これまで、江戸川区では、スーパー堤防事業を推進する理由の第一に、「国の治水事業である」ことを枕詞のように使って説明してきました。しかし、仕分けの結果を尊重して国の方針転換が図られる可能性は高いと考えることが相応であり、また、区内の予定地について、本事業が必要であるとしてきた根拠が崩れている事実もあります。

 区がすべきことは、今回の判定を機に、本事業と一体として進める計画であった「まちづくり事業」についてはいったん凍結し、他の工法の検討も含めて国と調整すると同時に、当該住民とともに現実の対応を協議することです。

 スーパー堤防は、ひとつの工法ではありますが、現実には、住民、自治体、国、それぞれに課題山積の事業であり、だからこそ、廃止の判定がなされたのです。要望文にある「全区民の願い」について、わたしたちはこれまでの調査から、全くそうではない、と考えます。

 今定例会では、5つの会派が一般質問でスーパー堤防事業を取り上げます。わが会派からは木村長人さんが登壇。もちろん、区の課題を指摘します。

 署名用紙を手にしたみなさん、区民代表の議会でどのような議論が交わされているのか、こちらにも大いに関心を持っていただき、どうぞ冷静な判断をしてください。