水銀問題で「適正処理困難物」の指定を提案

平成21年度決算特別委員会報告⑤

今年、23区の清掃工場で水銀混入事件が発生し、4つの工場で稼動停止となったことはすでにお伝えしました。23区清掃一部事務組合は、調査を重ねたものの原因究明には至らず、持ち込まれた事業系ごみによるもの、と推測しています。

区では昨年度から、スプレー缶やカセットボンベ、ライターなどが収集車での火災を引き起こす原因であったことから、江戸川環境保全事業協同組合に中間処理を委託し、妙見島で処理しています。住民が不燃ごみとして出したものの中から、収集員が抜き出して回収しているのです。一方、水銀を含む有害ごみは一般の不燃ごみとして収集、金属など資源を取り除いた後、破砕して中央防波堤に埋め立てています。これは23区のほとんどの区で同様。そこで、今回は、改めて家庭から出る有害ごみ対策について提案しました。

有害ごみは、本来なら、処理が困難なものを生産し販売した事業者に責任があることを明確にして処理するルートをつくるべきものです。一部業界が拠点回収、あるいは行政が行なっているところもあります。しかしそもそも自治体は処理能力を持たず、区が公的サービスとして拡大するのも前述の理由から課題が残ります。

そこで、区にある「廃棄物の処理及び再利用に関する条例」の活用を提案しました。条例には「区長は適正処理困難物を指定し、公表できる」とあります。そこで、水銀を含む蛍光管や電池、体温計などを有害ごみとして指定し、事業者に回収ルートの確立を求めていくのです。1区ではなく、近隣の区と広域的に取り組むことが有効であり、事業者にとっても、人口の集中する23区内であれば、効率的であり、事業のPRにもなり、社会的評価につながるのでは?

府中や国立など4市による多摩川衛生組合の清掃工場では、水銀を含む有害ごみの焼却実験を秘密裏に行い、こちらも大きな問題となりました。地元の生活者ネットワークの議員たちが情報開示請求の中で突き止めて、市議会で明らかにしたものです。4市では、23区と異なり、有害ごみを行政回収していますが、工場の性能が高くないため、入口での分別をしないとリスクがあるから、ということです。水銀を含む物質は焼却してはならないものですが、23区では、サーマルリサイクルを実施するにあたり「何でも安全に燃やせる」ということを強くアピールしたことが逆作用してしまったきらいもあるように思います。