なぜ要らない? 指定管理者制度の指針

平成21年度決算特別委員会報告④

 今回一般質問した「指定管理者制度の指針策定」については、5年前に私が一般質問しており、再度の質問でした。答弁は「個々の施設で性質が異なるから」という同様のもの。答弁の中で、「事業者評価については、財務状況が良ければいい」ということが強調されたことについて、決算委員会の場で「公共調達で総合評価を旨としている区としては、特に違和感のある答弁だった」とまず指摘しました。これについては「そのようなつもりで言ったのではない」と釈明が。

  この制度を本格導入する5年前、議会でも全員協議会が持たれ、区の考え方の説明を受けました。その考え方を明文化したものとしては、その時の8ページの資料だけ。しかも、導入に際しての資料であることから、内容が薄く、たとえば、指定管理料の算定の仕方や適切な管理運営の確保、指定管理者に対する監督についてなどの区の考えは示されていません。個々の施設の運営について、区のHPで公表される指定管理者募集要項や施設管理基準などをその都度確認するしかありません。区は、こういう施設ごとの基準や協定があることでよし、としているのです。

 今年は16の施設が更新の時期を迎えていますが、今年更新の「グリーンパレス」の管理基準には「危機管理マニュアル」を定めるとされていますが、19年度に示された篠崎文化プラザの基準にはありません。では、今年更新の施設にはすべてあるのかというと、たとえば、母子施設「そよ風松島荘」の管理基準にはありません。「危機管理マニュアル」は施設の性質に関わらず必要なものであり、そもそも指針があれば、その中に盛り込むべきもの。個々の対応だけであると、大事なことが漏れていたりします。各施設を所管する部署がそれぞれで担当していることから、その温度差の中で課題も浮き彫りになっているのも事実です。「管理基準には載っていないものの、実際にはどこにもある」とのことですが、それは区と管理者しか知らないことで、肝心の区民は置き去りです。指定管理者制度は、民活の手法の中で、唯一議会の議決が必要ですが、議決したあとは、情報のフィードバックもありません。

 区もここまでの経緯を踏まえて、さまざまに検証もし、この制度についての考えが明確に示せるときではないでしょうか。大半の指定管理施設が更新の時期となった今だから、改めて指針を策定して、指定管理者制度活用の考えを、一方の当事者である区民に広く知らせるべきです。同じ事業者がいくつもの自治体の指定管理者になっているケースが多く見受けられますが、事業者にとって指針のある区とない区では意識も変わってくるはずです。

  区と事業者だけでなく、何よりも区民が満足するように、win win winの関係を築かなければなりません。