区の化学物質対策が大きく前進

有機リン系から、人畜超低毒性ピレスロイド系へ

昨年2月の第一回定例会における私たちネットの一般質問(質問者は新村さん)をきっかけに、化学物質対策が大きく進んでいます。

区の各施設では、害虫駆除や消毒に使われている薬剤が施設によって違い、その選定や管理は委託の清掃事業者に任されていました。その中には、特に子どもに対する悪影響が指摘されている有機リン系薬剤について、学校、保育園、共育プラザなどのように使用を中止してきた施設がある一方で、依然として使用されている施設がありました。こうした現状について、区の管理責任を問い、統一見解のもとに薬剤の使用指針を策定した上で、担当課が責任を持って指導・管理することを提案したものです。

これを受けて、区は昨年3月に「薬剤散布における方針」を健康部長名で各担当部署に通知しています。その内容は以下3点。

① 有機リン系薬剤(フェニトロチオン等)の使用については、代替品への変更が可能な場合は切り替えること
② 駆除対策はIPM(総合的有害生物管理)の考えに基づき、生息調査を実施したうえで発生状況に応じて薬剤を使用すること
③ 薬剤による駆除を実施する場合は、実施日前後に駆除実施に関する内容を掲示等により周知し、化学物質に過敏な施設利用者への配慮を行うこと

健康部が今年の1月から3月に行った調査では、全体に余り浸透されていない結果となり、方針が守られていなかった施設を巡回し個別指導を実施。全庁ポータルでも、具体的な実施方法を提示するなどし、今年度末には全施設で方針が守られている状況を確認することにしています。

さて、環境運動家の田中優さんや環境NPO足温ネットなどが昨年から注意を呼びかけているのが「ネオニコチノイド」。1990年代から使われ始め、有機リン系より低毒性と言われながら、実はおそるべき毒性が報告されている農薬で、有機リン系の代替として多く使用されています。フランスではすでに使用が禁止されていますが、日本の残留基準値はEUの500倍のものもあるほど。

そこで、区が有機リン系の代替として使用している薬剤を改めて確認してみましたが、主にピレスロイド系のフェノトリンとピレスロイド様のエトフェンプロックスとのことですので、心配はありません。