今月開催された第6回財産価格審議会では6本の議案が諮られましたが、計2563.66㎡に及ぶ2つの農地を都市環境整備用地として買収するにあたっての価格審査もありました。本議案での都市環境整備用地とは、具体的には、スーパー堤防事業と一体となった緑地事業の代替用地。緑地事業計画地に現在住んでいる方々を移転させるための用地というわけです。現地視察に行きましたが、2つの区画ともビニールハウスが取り壊されているところでした。緑地化した高台をつくるといった緑地事業のために、これだけの生産緑地がなくなるとは何とも皮肉な話です。
第四定での一般質問でも取り上げたとおり、たとえ後継者問題があったにしても、区と区民の協働により、農地として保全する方策はあります。区は農業基本構想の中で、その手立ても掲げ、農地保全と有効活用を謳いながら、一方で、スーパー堤防事業推進のため、今回のように広大な農地を失くしています。
国との共同事業であるスーパー堤防事業について、私たちはこの間、生活者の視点でさまざまな問題提起をしてきました。今年3月の予算特別委員会では、政権交代を視野に「国の判断が変わることもありうる。慎重に。」と述べましたが、先の事業仕分けではやはり俎上に上り、見直す事業との意見も出たところです。が、この期に及んでも区は相変わらずの行政主導、強行姿勢のままです。
11月には地元住民による3つの団体が中心となって、国会議員への請願活動、並びに「不要な公共事業・スーパー堤防構想の見直しを求める院内集会」が開催され、集会には10名の国会議員(秘書含む)の参加がありました。(写真)
明日24日(木)には、超党派の国会議員で構成する議員連盟「公共事業チェック議員の会」(会長・松野信夫参議院議員、事務局長・大河原まさ子参議院議員)による視察が予定されており、一行はすでに事業化された平井・小松川、そして計画地である篠崎・北小岩をくまなく周り、住民との意見交換をすることになっています。
多くの共感を呼んだ「国民の生活が第一」というフレーズは、スローガンゆえに言葉が削ぎ落とされているわけですが、言葉を足すならば、「そこに住む国民の生活が第一」「今ある国民の生活が第一」ということではないでしょうか。
200年に一度の洪水対策に莫大な費用と時間を費やし、住民に仮移転や転居を求めるのではなく、今、そこに住む住民の生活や地域環境を守りつつ、住民とともにある災害対策を講じるべきと考えます。