先の決算特別委員会において「財団法人リバーフロント整備センター」への業務委託であること、及びその使途内容が初めて明らかにされたのですが、驚くべきは検討案の模型に600万円が投入されたこと、そしてこれも公開できない、との説明です。
この検討案とは、以前このサイトでも報告した、中川を埋め立てて100haの高台をつくる「中川防災ベルト構想」のこと。すでに昨年秋、会派ごとに1時間以上をかけて土木部からパワーポイントによる詳細な説明を受け、その後、11月の建設委員会において執行部報告がなされているものです。いずれの時もA3版カラーの平面図も配布されました。正式決定ではない検討中の案について詳しい説明がなされるのは異例のこと。区としては、昨年12月に開催された「第一回海抜ゼロメートル世界都市サミット」で発表する予定にしており、その前に議会には報告しておこうということだったのでしょう。しかし、これら事前説明の中で、疑問や批判が相次いだからでしょうか、結局サミットで発表及び模型展示されることはなく、それ以来この案についての説明は一度もなされていません。
ここで疑問なのは、同じ検討案について、詳細な平面図はすでに公表しておきながら、立体模型は公開できないという点。「河川管理者である国や、東京都との合意形成ができておらず、公開すれば行政執行上支障がある」というのがその理由ですが、この検討委員会には国土交通省や東京都の管理職も入っているというのに、この期に及んでこうした説明に終始するとは全く理解に苦しみます。この件については、所管の準備不足から、土木費の審査時間内で十分な答弁ができず、決算審査の最終日にまで持ち越され、総括質問まであったのですから、最終審査の場で現物を見せながら経費の説明をすべきだったと思います。
本委員会からは「中間とりまとめ」が発表され、パブリックコメントの募集もなされました。「専門家による自由闊達な意見交換のために非公開」である委員会から出されたものですから、どれだけ専門性の高い、スゴイ内容になっているのだろうと期待もしたところですが、わずかA4 9ページのその内容は、これまで区が「スーパー堤防整備方針」や「ハザードマップ」の説明時に使用してきたことがまとめられているだけという印象はぬぐえません。この程度のとりまとめ経費が810万円というのも破格ではないでしょうか。
区がパブリックコメントを募集した時には、意見公募の結果が、区の見解とともにホームページで公表されるのですが、委員会での簡単な説明はあったものの、半年が経ちながらその公表もありません。
委員会業務を委託した「財団法人リバーフロント整備センター」の代表理事は元国土交通省河川局長、つまり天下りですが、その理事が「NPO法人日本水フォーラム」事務局長という、別団体の肩書きで本委員会の委員に就任していることも質疑の中で明らかにされました。委託団体の代表名ではなく、別の非営利団体名で名を連ねる。これも恣意的なものと言えないでしょうか。
本委員会運営に関しての説明責任、そして透明性の確保について、区は再考する姿勢が必要です。