10日に開かれた「都市計画審議会」では、東京都市計画道路「補助288号線」の変更についての審議が行なわれました。これは、現在、篠崎公園を分断する形で計画されている道路を、スーパー堤防の整備と合わせ、篠崎駅から鹿骨街道を北上(整備済み)、公園東側から公園北側を通り、柴又街道と交差するようルート変更しようというものです。川沿いの上篠崎一丁目地内における「立体的な範囲」(=スーパー堤防にして、道路はその下をくぐらせる)を定めることも含んでおり、実際、スーパー堤防事業に着手するまちづくりの決定ということになります。
篠崎のこの事業については、反対の意見書が何と2164通も寄せられており、東京都への提出分をあわせると4000を超える数になります。区への提出分については、実際に出された人数は1309人、様式も6つにパターン化している、すべて手書きによる意見書は24通とのことですが、それにしてもかつてない状況です。主な内容は「スーパー堤防建設と一体の道路変更に反対」「閑静な住宅地の環境破壊につながる変更に反対」「現在の道路の整備拡充で十分であり、新たな道路は必要ない」というもの。この事業により、約140軒が一時立ち退きを余儀なくされ、地元に戻れるのは5〜6年先になる見通しです。水害に強いまちづくりとはいえ、そこに暮らす人にとっては、生活、地域、人生設計、といった生きる上での大切なことが集約されているのです。
まちづくりは住民参加が大前提ということはもはや共通認識。しかしスーパー堤防事業については、区はその有用性について説明を繰り返しつつも、未だ住民側の共感を得られない部分もあるなど温度差があります。行政側の見解と同様に、やはり実際に生活をしている人の視点も一方で同じように重要であり、その事業の必要性が理解されるプロセスは大事なことです。
そもそも篠崎公園は昭和32年に公園として都市計画決定されているのに、288号線については、昭和41年、その公園を二分する形での計画決定がされています。こうした整合性のない、いい加減な決定が行政手続の中でされてきているのです。また、昭和41年の決定から今日まで手付かずで来ていながら、反対の意見も多くある中で計画変更を急ぐことは、やはりスーパー堤防ありき、の区の姿勢が垣間見えます。どんなことに対しても賛成・反対意見は常にありますが、行政主導でなく、住民と十分な合意形成を図り、住民の意思を反映させたまちづくりをすることが何よりも優先されるべきと考えます。
この審議会は区長の諮問機関ですが、区議会にも現在、建設委員会にスーパー堤防の見直しについての陳情が、北小岩の関係が8本、篠崎関係が1本、合計9本も出されています。これほどの陳情が出されるのはやはりこれまでにないこと。この28日には委員会が開かれますが、そこでは、篠崎の方を含む7名の陳情者が参考人として出席し、直接訴えることになっています。これも当然のこととして実施している議会もありますが、実は江戸川区議会では画期的なことです。また、スーパー堤防事業に関しての疑問点や質問を委員全員が出し合い、このことを専門とされる中央大学の山田正教授と、新潟大学の大熊孝教授から2月に回答をいただくことになっています。委員会の陳情審査も佳境であり、議会がまさにこれから、というときに、このタイミングで審議会が開かれ、決定が諮られるということ自体、疑問です。私は議員の枠で審議会に出席しており、議会の現状に鑑み、また、区が常に区民との合意を図ると説明していることに照らしても、決定についてはもう少し合意形成が進んだ段階でもいいのではないかと考えるので、審議継続にすべきと提案しました。が、賛同はわずか3人で、採決になり、私は前述の理由から態度を保留しました。(結果は、反対1、賛成多数で了承)
私は今期からこの審議会の委員になったのですが、審議会のあり方そのものに疑問を感じることが少なくありません。まず都市計画決定という住民にとって大変重要なことが議会の議決事項ではなく、区長の諮問機関で諮られるということ。そのため、議員枠が設けられているのだろうと思いますが、これを今後の議会改革の中で変えていきたいものです。また、一言の発言もない委員も多く、議事進行のあり方や議事録公開のあり方なども改めていく必要を感じています。