学校給食のびん牛乳が紙パックになる動きがすすんでいます。給食用牛乳は畜産事業の一環として位置付けられているため、各自治体で選定できるわけではなく、農林水産省の「牛乳供給要綱」によって規定されています。配送経路や価格などにより東京都は13の区域に分けられていますが、江戸川区は荒川・葛飾・江東・港・中央の各区とともに第6区域で、現在、森永乳業から供給を受けています。12区の多摩区域も森永が担当していますが、その森永の多摩工場が来年から製造ラインを180ccのみとするため、給食用牛乳の基準外となることが確実になりました。給食用牛乳の栄養規定量は200ccと決まっているため、必然的に供給不可能となるわけです。他区域でびん牛乳の供給を続ける明治乳業、協同乳業、興真乳業の生産量も追いつかないことから、第6及び12区域は紙パックへの移行がほぼ確定しているという状況にあります。
このことで心配されるのが、教育上の問題であり、環境やリユースの観点からの課題です。残乳の処理や紙パックのリサイクルは学校責任という方針が出されています。「残乳は下水に排水してはならないものに該当しない」としていますが、その根拠は何なのでしょう。環境汚染につながる懸念は否めないのではないでしょうか。(江戸川区ではすでに行われていますが・・。)また、「リサイクル資源の活用気運を醸成する」とありますが、週休2日のタイトな時間割の中で、果たして学校をあげてリサイクルに取り組む時間がとれるのでしょうか。リサイクルよりびんのリユースこそ大事なはずです。リデュース・リユース・リサイクルの「3つのR」の優先順位は学校でも習うことです。ひとつひとつの紙パックを毎日洗浄する水道料金も相当なものになると予想されます。資源循環型社会の学習をする学校現場で、学習と逆行することが日々大量に行われようとしています。
すでに都内3つの区域では、グリコ、日本ミルクコミュニティー、森永により紙パック牛乳が導入されています。採算がとれないため、学校給食からは撤退したいというのが事業者の本音のようで、びんから紙パックへの移行も採算ベースの兼ね合いから拡大していくものと思われます。都教育庁はこの6月に自治体へのアンケートを実施しましたが、現場からは多くの懸念の声が寄せられました。なぜ製造事業者の都合を最優先させる状況になってしまっているのでしょうか。
8月には紙パックの新しい事業者が決定されることになるようです。が、その前に、
・事業者に対して、残乳処理費用を上乗せした適正価格を示して継続してもらうようにする
・自治体には独自判断を認め、その場合にも補助の対象からはずさない
・180ccでもよしとして、ほかの食材で栄養を補う
などの現状の見直しを行うべきではないかと思います。