「決定経過を最もよく知る、責任ある立場の人」が次回証人に~スーパー堤防取消訴訟第9回口頭弁論①
今日の裁判では、被告・江戸川区が主に準備書面(5)において、本件土地区画整理事業に盛り土が必要であるとした点について、原告側が事前に提出していた準備書面(9)と(10)に基づき、初めて法廷でパワーポイントを使用。原告代理人より、明快な弁論がなされました。
再三お伝えしている通り、江戸川区は、住民説明や区議会では、スーパー堤防事業と一体の土地区画整理事業だと説明してきましたが、裁判では、この計画はあくまでもスーパー堤防とは別個の土地区画整理事業だと主張。ではなぜ区画整理事業に盛り土が必要なのか?
被告はこの理由を「防災機能の向上や利用増進のため」としています。具体には、「地区外との高低差に問題がある」とし、「行き止まり」や「階段状の段差」により、「緊急車両の通行」及び「避難経路の確保」にかかる支障を解消するためと主張。そして、その効果については、北側14号線の階段状の道路の解消と、北側国道14号線市川側から堤防を通って地区に侵入する経路の大幅改善を挙げています。
そこで、原告弁護団の山田勝彦弁護士は今回、現地の映像を使って、「地区外との高低差がない」ことを立証したのです。百聞は一見にしかず。裁判長には「現場を実際に見てほしい」との要望も出していましたが、10分弱のパワーポイントによる、明快な弁論により、谷口裁判長をして「大変よくわかってしまった。これ以上見に行く必要はないかな、という気がしてきました」と言わしめました。パワーポイントの使用は、前の定塚裁判長にも求めていましたが、当時は認められなかったものです。
原告側が次回、原告ら3名、及び、江戸川区の元土木部長・土屋信行氏の証人尋問を求めたところ、被告代理人は「その必要はない」と元部長の尋問を即座に拒否。これに対し、前任者と異なり、資料を読み込んでいると思われる谷口裁判長は「確かに議事録でわかることではあるが、現在の被告の言いぶり、主張はわかりにくい部分を含んでいる。だから釈明も求めた。一つの案として、責任ある立場の人に整理して述べていただくスタイルもある。決定経過を最もよく知る人について、誰が適切かはこちらからは申し上げにくい。被告が証人審査していただけないか」と水を向けました。こうまで言われちゃ、断るに断れず?、結果、被告側からも「適切な誰か」が証人に立つことになりました。後で行われた報告集会では、「責任ある立場なら区長だろう」との声が。さて、どなたに?
裁判長は、ことの性質上、迅速な指揮をとるため、双方の人証を次回10月16日(水)に同時に行うとし、主尋問に対しての反対尋問の時間も考慮。午後1時30分から夕方までの時間をとり、「次回での終結をその場で相談することになるかもしれない」と予告しました。「執行停止」にも触れ、双方の意見書で交わされた、違法性をめぐる争点について、「期せずして論点整理できた。まとめとして理解してよいか」と双方に確認。「本案(判決)にも使わせていただく」と述べ、同時期に結論を出す姿勢を示しました。
裁判はいよいよ証人尋問へ。良心に従って真実を述べ、何事も隠さず、偽りを述べない。被告証人は何をどう語るのか、果たして語り切れるのか、ぜひ大勢で見守りましょう。