スーパー堤防事業で比較・日米の環境アセス~エコスタディ報告①
25日(水)、「環境女子会☆」が開いた「比べてみれば見えてくる?日米アセス対決~スーパー堤防事業から日本の環境影響評価法の問題点を考える」に参加しました(衆議院第二議員会館)。難しい法律を、少しでも堅苦しくなく学ぶための工夫として、イケメン議員を巻き込むことも重要な要素?となっているエコスタディ10回シリーズの2回目は、小川淳也衆議院議員、そして若き環境省職員さんを交えての学習会となりました。 「環境女子会☆」は、立場やしがらみにとらわれにくい女子ならではの視点を活かし、これからの日本にふさわしい環境法をつくろうとネットワークされた会です。
アメリカの「国家環境政策法(NEPA)」は1969年成立、1970年施行。 日本の「環境影響評価法」は、1997年成立、2011年改正。
私は、事例となる「スーパー堤防事業」の紹介を行いましたが、ジャーナリスト・政野淳子さん(工学博士)による「日米の環境アセスを比較しよう」のミニ講座では、いかに日本の環境影響評価が不十分であるかが白日のもとに。
まず、日本の場合、法に定められた13事業(道路、河川、鉄道、飛行場、発電所、廃棄物処理場、埋立・干拓、新住宅市街地開発など)に該当することが大前提。さらに、その事業であっても、省令で定められた規模に合致しなければはじかれます。土地区画整理事業も入っているものの、面積基準は75ha以上であり、北小岩1丁目東部地区の1.8haは対象外です。
被災地で議論されている巨大防潮堤も、公有水面埋立法の許可が必要な干潟がなければ環境アセスを行わなくても違法ではありませんし、狭小な場所であれば、希少生物がいようとも、やはり違法とはなりません。
これに対し、アメリカの「NEPA」では、その対象は、事業規模の大小ではなく、スクリーニングで決まります。さらに、事業だけでなく計画や政策までも評価の対象となることから、これに倣えば、スーパー堤防事業を含む「利根川・江戸川河川整備計画」もアセスの対象となりえます。
「NEPA」規則には「人間環境」が盛り込まれており、「経済環境または社会環境と、自然環境または物理的な環境とが相互に関係するときには、人間環境へのすべての影響を検討する」とされています。
日本では「大気、水、土壌、生態系、植物、動物、温室効果ガス」などといった自然環境しか対象となりませんが、「NEPA」では、「人間環境」「代替案」「間接的及び長期的影響」「費用便益分析」などの項目も評価されます。
たとえば「代替案」については、①何の行為も行わないという選択②理にかなったその他の代替案③提案された行為にはない緩和措置 といった具合です。事業を行わないことを含めて複数の代替案が必要となり、どのような影響が起こり得るかを明らかにして本命の案と比較する客観性、何もしないことによる影響や不利益を評価する妥当性、事業の目的が達成されないことでどのような不都合があるかの必要性が検討されます。
スーパー堤防事業については、代替案の提案をずっと続けていますが、アメリカであれば、言わずもがな、法の下でこのことがきっちりなされるのです。
◆夜でないと参加できない方のために、おさらい編が28日(金)午後7時から、日本自然保護協会にて開かれます。くわしくはこちらをどうぞ。企画は女子が行いますが、男女を問わずどなたでもご参加ください。