公開質問・国が盛り土を行う根拠法を問う~スーパー堤防と一体の土地区画整理事業
公共事業改革市民会議が30日、江戸川区に対し、5回目の公開質問書を提出しました。
北小岩1丁目東部地区における
本件事業は、拙速な進め方が反作用し、当初の予定より大幅に遅れ、2016年5月完了見込みは現実性を失っています。現時点で、スケジュールも根本から見直さなければならないところ、区は直接施行(施行者である区が強制的に家屋を取り壊す)を強行する姿勢を強めています。30日当日も、1軒の方に対し、再催告書が届けられました。その方の家屋が事業施行の障害であり、6月20日までに必ず除却するように求めています。そして、それがなされなかった場合は、区が除却工事を行う場合がある、と明記されています。ここへ来て1軒が自ら除却し、残り8軒のうちの2軒に再催告書が届けられたことになります。
今回の質問内容は、「盛り土工事の主体」について、さらに「事業計画変更の今後の見通し」「部分盛り土」「直接施行方針と地元住民のとの話し合い」についてです。
昨年5月の国交省との協定に基づき、盛り土は国が実施することになったとされますが、現在の区画整理事業計画では、依然区が盛り土工事の主体となっており、市民会議は、今回も、「協定により国が盛り土を行うのであれば、土地区画整理事業の計画変更を行い、法律の裏付けを持たなければならない。事業計画変更が完了しない段階で、区と国の協定にどのような法律の裏付けがあるのか明らかにされたい。」としています。これは江戸川ネットも従前から指摘しているとおり、本件事業に関わる基本的な問題です。
任意の協定よりも、法律に基づく事業計画が優先することは自明でしょう。仮に、現状のまま国が盛り土工事に着手するならば、それはどのような法律の何条に基づくものなのか、その根拠が示されるべきですが、この間あいまいな回答に終始しています。
当地での盛り土は、「河川法に基づく高規格堤防の整備工事」であり、「土地区画整理事業計画の変更とは無関係」というのが区の主張ですが、錦の御旗に上げられる「河川法」も、高規格堤防事業については、高規格堤防が完成して初めて「河川法」に定める「河川区域(高規格堤防特別区域)」として法の規定にのる、というのが本法の建て付けです。
本件事業においては、「土地区画整理法」における事業計画との関連性が極めて重要であることから、「土地区画整理法」上における明快な説明がまず必要です。
市民会議のメンバーからは「手続きに大きな瑕疵がある。このまま直接施行を行えばもはや回復せず、ますます混乱する。80歳過ぎた方々の生活をどうするのか。区長が誠意をもって区民と話し合うべき。」との意見があり、また、同席した住民代表は「最近取り壊された家のおばあさんがその前夜、ひとりぽつんと座っていた。少し前までは、『ここに住んでいていいんだよね?』と言って泣いていた。心境はいかばかりか。住民のための行政であってほしい。よく考えていただけたらと思う」と話されました。
住民との直接対話については、私たちも議会質問してきましたが、区長は「いずれ時機を見て」と答弁していたものの、次第に「話しても不毛」とトーンダウンし、区民要望を受けながらも、一度も実現されていません。