東京オリンピックの「環境アセスメント」への市民参加は?
江戸川ネットのHPでお伝えしているとおり、現在、東京都環境局は、「2020年東京オリンピック・パラリンピック」の競技会場などについての環境アセスメントを実施中です。
私たちは、東京のオアシスとして親しまれている都立葛西臨海公園が、2016年大会立候補にあたり、その3分の1がカヌー・スラローム会場になると知った時から、地元の環境団体の方々とともに問題意識を持ってきました。
江戸川区当局も思いは同じであり、同公園に近い、都の下水処理場周辺への変更を要望している旨、直近の区議会予算特別委員会(P63~)においても区長が答弁しています。江戸川区での開催を望む多くの区民の期待にも沿う代替案であると思われます。また、自然の宝庫として育まれてきた同公園で活動を続ける「日本野鳥の会」もこの間、現計画どおりに建設されるという最悪の事態を回避できるよう、さまざまな取り組みを続けています。
同会は、都に会場変更の要望書を提出していますが、区当局から都に対する正式な書面提出はありません。また、江戸川区議会では、区民から出された同趣旨の陳情に対し、この3月、全会一致趣旨採択(P5)としたものの、願意である「都への意見書提出」まではしていません。
都議会生活者ネットワークでは、2013年2月8日の「オリンピック・パラリンピック招致特別委員会」において、山内れい子議員が「開発優先か、自然保護かの問題である」と指摘、「開催決定後の会場変更は可能か、過去に事例はあるか」質問。「08年北京大会のトライアスロンや直近のロンドン大会では、バドミントン、新体操の会場が変更されている」との答弁を引き出しています。
さらに本年3月14日の都議会予算特別委員会でも山内議員が「IOCが出した会場予定地の評価書の特別項目において、葛西臨海公園の施設建設について、指摘されていることは何か」、「同施設建設が自然、文化資源に悪影響を及ぼさないのかどうか、都の環境保全に関する権限と責任を有する都の見解」をただし、舛添知事の現地視察を求めています。
都は、「環境優先のオリンピック」を挙げており、奇しくも2020年は、2010年に名古屋で開催した生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で決議された、愛知目標の達成年。施設建設により、世界192ヵ国とEUによって合意された生物多様性の損失を食い止める約束が反故にならないよう、努めることが求められます。
都に確認したところ、今回の環境アセスメントは、都の環境影響評価条例の対象ではないことから、市民参加のプロセスは予定していないとのことですが、その結果を広く市民に公開し、それをいかに反映させるべきか、市民意見を求める機会を持つことも必要では? と同時に、安倍総理がプレゼンテーションで世界に向け「アンダーコントロール」と豪語した放射能問題についても、随時、正確な情報を公開し、発言の根拠についての説明責任を果たしていかなければなりません。
*「2020 年東京オリンピック・パラリンピック 環境アセスメント指針」にある「法令による環境アセスメント制度との関係」参照。「手続き」において、都条例や環境影響評価法には、「都民」「国民」と明記されていますが、今回の場合は、「都民等」となっているところが異なります。