司法の「枠組み」の壁~「江戸川区スーパー堤防仮換地処分取消訴訟」第三回口頭弁論期日

 被告・江戸川区は7月提出の準備書面において、事業計画変更と仮換地指定処分の関係について、「造成計画変更の前後によって、区画整理事業施行後の盛り土の形状は全く変わらない」とし、「すでになされた仮換地指定処分には抵触せず、同処分には何ら影響を及ぼさない」と主張しました。今回は、議会答弁と同じ。 

 原告は、同書面における「盛土の実施主体が国になり、盛土が土地区画整理事業とは別個の事業として行われることになったのであれば、盛土に係る事情は、土地区画整理事業の事業計画に係る手続きの中で検討する対象でなくなったというべきである」との被告の主張に対し、書面で4点につき釈明を求めました。 

  本日行われた第三回期日(803号法廷)では、まず、「区画整理事業に基づく仮換地指定処分が行われている場合、処分の対象となった従前地において、所有者の同意なく工事を行うことができるのは、『施行者又はその命じた者若しくは委任した者』による『土地区画整理事業の工事』のみである(土地区画整理法80条)。第三者である国が盛土工事を行うのは問題ではないのかはっきりさせてもらいたい」 

 さらに、「国が実施するにしても、その盛土整備の結果として形成される地盤の安全性は、事業計画が定めるべき『災害の発生を防止し、その他健全な市街地を造成するために必要な・・宅地に関する計画』(土地区画整理法6条8項)に影響を与えるものと考えられるが、被告は、事業計画変更案に係る判断の過程において、盛土の安全性に関する事情を一切考慮しなかったと主張するのか」 について、主に主張が交わされました。 

 途中、谷口豊裁判長からは、「本訴訟の請求原因に沿った主張を」との指揮がありましたが、小島延夫弁護団長が食い下がり、その後、裁判長は「全く関係ないとは申し上げない」と。 

 被告は、前段については、「裁判所からの指示があれば書面を出す」、後段については「一切考慮していないとは言っていない」と主張し、原告が求めた「計画変更する上で、国が行う盛土の安全性についてどのような考慮をしたのか」について、立証補充することになりました。それを受け、原告からも書面が出されることに。専門家の意見書提出もなされるとのことです。

 この裁判は「区が事業計画変更を決定しない段階での仮換地指定処分は違法」と訴えているもの。よって、事業計画変更の中身は関係なく、原告の主張は訴訟の枠組みを超えているのではないか、というのが裁判所の見解のよう。 

 本訴(取消訴訟)では、スーパー堤防事業と切り離し、今回は、変更の中身は関係ない、と。司法や行政の「枠組み」の中では、市民の疑問・不満は解消されることはない。明快な説明はどこへ行ったら聞けるのか教えてほしいもの・・。

■次回期日 11月12日(水)午前10時30分 東京地裁803号法廷