江戸川区、「高規格堤防特別区域」の説明記録は不存在~十分な説明はなされたか?

 「北小岩1丁目東部土地区画整理事業計画の変更」手続きにおける、口頭陳述の取り扱いが諮られた第206回東京都都市計画審議会議事録が、都のHPで公表されています。 

 その都計審で、松村委員(都議)は、本題の質疑に入る前に、「盛り土を国が行うと、そこは高規格堤防特別区域になり、通常の区画整理にはない制限がかかる。しかし、この変更案が決定されないうちに、強制執行まで行われるなどは、審議会の存在意義から見てもどうなのか。都は区に対し、認可を待ってから進めるよう言うべきではないか?」と質問しています(議事録P20~)。このことは、以前から私たちも問題視していることであり、生活者ネットワークとして都に対しても議会質問してきています。 

 答弁者である市街地整備部長は、この質問にとまどったのか、しばらく間を置いてから、的を得ない答弁を(議事録P21)。同委員は「緩和されるならともかく、今までより制限がかかるからこそ、ここで丁寧な説明をすべきでありながら、区画整理の既定の事業としてどんどん進めている。意見書には、都は区を指導すべき、との意見もあるが。」と再質問。

  再答弁は「基本協定の締結後の平成256月早々、江戸川区は国土交通省と、地区内権利者を対象としてまちづくり懇談会を開催し、そこで高規格堤防特別区域に関する説明を行っている。参加できなかった権利者に対し、当日配付資料を後日直接手渡しするなどし、周知を図ってきている」というもの。(議事録P22 

 先日、答弁にある昨年678日実施のまちづくり懇談会の議事録を、区に情報公開請求しました(「江戸川区情報公開条例」)。開示されたのは「報告書」で、記録されているのは、日時や場所、行政側出席者などの他、質疑や挨拶だけで、肝心の区や国の説明箇所は明記されていませんでした。説明部分の省略は、行政の慣例と思われます。同時に録音物についても請求しましたが、録音は報告書作成のためのもので、行政文書ではなく、よって開示対象とはならず、報告書作成後廃棄しているとのこと。 

 メディアにもよく登場される「NPO法人情報公開クリアリングハウス」の三木由希子さんによれば「録音物は行政文書に間違いない」。しかし、保存期間1年未満のものとして、必要がなくなったら廃棄・消去できるよう取り扱われており、報告書や議事録が作成され、確定すると消去されるのが一般的、とのこと。 

 すべてを記録化しない場合は、録音物が唯一の実質内容を記録したものであり極めて重要です。江戸川区は「録音物は行政文書ではない」との認識のようですが、行政が行政の仕事として行ったことを収めたものが行政文書でないはずがないのでは? (三木さんブログ「会議内容の録音物、やはり行政文書」) 

 録音物の保存、そして、すべてを記録することが必要です。そうでなければ、区にとっても、「高規格堤防特別区域について説明した」ことを裏付ける根拠はなく、説得力はありません。 

 ちなみに、懇談会当日配布された24ページに及ぶ資料の中で、「高規格堤防特別区域」に関する資料はこちら。これだけ。開示された報告書によれば「高規格堤防特別区域」についての質疑は7日については一切なし。8日は「地下何mまで掘れるのか」の質問がひとつ。果たして十分な説明は行われたのか・・。