江戸川区、最後まで争点回避~江戸川区仮換地処分取消訴訟控訴審結審
20日(木)、第2回口頭弁論を終え、江戸川区仮換地処分取消訴訟控訴審(菊池洋一裁判長)は結審しました。
この間、控訴人・被控訴人(江戸川区)はそれぞれ準備書面を提出、控訴人からは証拠書類も提出されており、この日の法廷では被控訴人が「新たな立証はない」と述べ、控訴人からは「提出した書面の確信的な部分について口頭で述べたい」との申し出がありました。
この裁判において、控訴人が江戸川区に求めていた最大のポイントは、当該地にて国がスーパー堤防事業(盛り土)を実施できる法的根拠について。区は、土地区画整理法100条の2に定められた「管理」規定を根拠に、スーパー堤防工事ができると主張していましたが、お伝えしています通り、そうであるならば、同法80条に定められた「工事」の規定は意味のないものとなってしまいます。この点についての釈明が求められたところですが、結局江戸川区は「法解釈に関わること」とするだけで、最後まで明確に回答しませんでした。
3つのスーパー堤防関連裁判の先頭に立たれてきた小島延夫弁護士は、まず、こうした江戸川区の態度、及び裁判長の指揮に対し「民事訴訟法の規定を無視したもの」と糾弾しました。そのうえで「そもそも本事業がどれほどの被害を権利者にもたらしているのか認識しているのか」として、本事業によってもたらされた深刻な心身の被害状況について改めて語られ、区が誠実に回答しないことは極めて不適切であるとし、公正な司法判断が求められました。
民事訴訟法は口頭弁論について、149条において「裁判長は、口頭弁論の期日又は期日外において、訴訟関係を明瞭にするため、事実上及び法律上の事項に関し、当事者に対して問いを発し、又は立証を促すことができる」と定め、さらに3項では「当事者は、口頭弁論の期日又は期日外において、裁判長に対して必要な発問を求めることができる」と規定しています。前述の争点は、江戸川区が自信を持って主張し、執行していることを、説明責任をこの上なく求められる法廷において十分釈明できない状況にあることを露呈したと言えます。
「この程度で終結・・」と言う裁判長に対し、最後に福田健治弁護士は「『法解釈』したら、他の条文の意味がなくなるという解釈は避けるべき。両者は同じ年(昭和34年)に一方はつくられ、一方は改正された。整合的に立法され、その役割を与えているということ。なぜ、80条が設けられ、工事内容を限定したのか。これについて、一審判決も、そして(控訴審における)江戸川区も一切回答しない。答えられないのだ。80条の意義が説明できないことに対し、裁判所にはまっとうな判断をいただけると信じている」と述べました。
判決は12月20日(火)午後1時15分、東京高裁511法廷にて言い渡されます。
なお、裁判の冒頭、裁判長から裁判官が交代していることが告げられ、一審が判示した原告適格について疑問を持たれていた左陪審がすでにいないことがわかりました。