台風19号と八ッ場ダム
台風19号は列島各地に甚大な浸水被害をもたらしました。広い範囲において、極めて深刻な被害状況が日に日に明らかになっています。
確かに記録的な、歴史的な豪雨であったでしょう。そうだとしても、この現実を目の当たりにした私たちは、「想定外だった」「整備途中だった」で片づけてしまってはなりません。これまでの河川行政を検証し、今こそ、日本のあるべき治水を再構築していく必要があると思います。
今回も長野県伊那市の美和ダム、茨城県県常陸太田市の竜神ダムと北茨城市の水沼ダム、神奈川県相模原市の城山ダム、栃木県那須塩原市の塩原ダムの5ダムで緊急放流が行われました。周辺住民には「命を守る行動をとるよう」警戒が呼びかけられました。昨年の西日本豪雨では緊急放流により尊い命が奪われています。洪水調節を謳うダムは、凶器になりうることもまた事実です。
そんな中、「台風19号では利根川中流の堤防が決壊寸前になった。決壊による大惨事を防いだのは八ッ場ダムの洪水調節効果があったから」だとして、「八ッ場ダムの反対運動を進めてきたことを反省せよ」という趣旨の意見が関係者に寄せられています。
私たち生活者ネットワークも、八ッ場ダム建設は治水・利水両面から不要と判断。思いを同じくする市民、市民団体と連携し、反対運動を進めてきました。私は江戸川区議会に八ッ場ダム建設推進の議案が2度上程された際、2度反対討論を行いました。残念ながら八ッ場ダム建設が進んでしまった今も「アースデイ東京」などで、仲間とともに、日本の河川行政の転換を訴え続けています。
「八ッ場ダムは役に立つ」という上記指摘について、「八ッ場あしたの会」は、HPに、八ッ場ダム問題に長年取り組んできた嶋津暉之さん(同会運営委員、元東京都環境科学研究所研究員)が現時点でわかることを整理した結果を掲載しました。嶋津さんは現在、石木ダム問題、スーパー堤防問題においても市民の論理的支柱として精力的に活動をされています。
ぜひこちらからご覧ください。
●台風19号、利根川における八ッ場ダムの洪水調節効果
●八ッ場ダムが本格運用されていれば、今回の台風で緊急放流を行う事態に