「消費者契約法」を知ろう!~4月からの18歳成人に向けて
民法改正により、2022年4月、140年ぶりに成年年齢が20歳から18歳に引き下げられます。18歳、19歳の若者が自らの判断で人生を切り拓いていくことが期待される一方、保護者の同意があれば契約を取り消すことができる「未成年者取消権」で保護されていた18歳、19歳の消費者被害拡大も懸念されてきたところです。
現状においても「未成年者取消権」がなくなる20歳を迎えた直後の被害相談は、18、19歳に比べて倍の件数で被害も高額になっており、悪質な事業者の格好のターゲットになっている状況が浮き彫りになっています。
18歳成年は世界的にも主流ですが、日本においては未成年者の社会生活上の経験不足、判断能力の未熟さは否めず、それを補うための消費者教育も十全であるとは言えません。
こうした中、一人で部屋を借りる、携帯電話、クレジットカード、ローンを組むなどの契約が親の同意を得ることなく18歳から単独でできることとなります。「消費者白書」によると、ここ数年、若い世代の相談では不動産賃貸借が上位になっており、初めての消費契約上でのトラブルが初めての一人暮らしに伴うものである状況もうかがえます。
消費者問題が生じる背景には、消費者の経験・良識を超えた商品やサービスの出現、また消費者と事業者間の情報力・交渉力の格差拡大があります。
そこで、消費者の利益を守ろうと2000年(平成12)に成立したのが「消費者契約法」です。
嘘を言われた(不実告知)/不利なことを言われなかった(不利益事実の不告知)/必ず値上がりすると言われた等(断定的判断の提供)/過量な買い物の勧誘(過量契約)/お願いしても帰ってくれない(不退去)/帰りたいのに帰してくれない(退去妨害)といったことがあった場合には、契約の「取消し」ができます。
そして、今回の民法改正を踏まえ、若者特有の被害として多く見られる、就職への不安につけ込む「就職セミナー商法」、恋愛感情に乗じた「デート商法」についても、不安をあおる告知、また、好意の感情の不当な利用にあたるとし、不当勧誘行為に追加、「取消し」対象としました。その他の追加もあり、また、「無効」等の規定も盛り込まれています。たとえば、若者に起こりがちな結婚式のキャンセル等については、キャンセル料のうち、契約解除に伴う平均的な損害額を超える部分や、遅延損害金につき年利14.6%を超える部分については「無効」となります。早分かりパンフレットはこちらから。
2012年には「消費者教育の推進に関する法律」もでき、家庭科・社会科で消費者教育を受けることとされました。重点領域ごとにライフステージに応じた目標を掲げた「消費者教育の体系イメージマップ」もできていますが、とりわけ在学中に成年年齢を迎える高等学校における消費者教育への注力は重要です。
未成年のうちから契約に関する知識を学び、様々なルールを知った上でよく検討する力を身につけておかなければなりません。そのためには、消費者教育を含め、市民と政治や社会との責任ある関りを深める「シチズンシップ教育」を、子どもの頃からあらゆる場面で受けられる機会をつくることが不可欠です。若者への啓発や相談対応には、SNSを活用したツールを進めることも必要です。
*困ったことが起きた場合には、消費者ホットライン「188(イヤヤ)」へ。
*東京都が作成した消費者教育・金融教育のための教材はこちらから。学校等への出前講座も実施しています。消費者庁はこちらから。
■女性の結婚年齢は、16歳から18歳に引き上げられ、男女とも18歳に。
■性同一性障害の人が性別の取り扱いの変更審判を受けられるのも18歳からに。
◆これまでどおり20歳にならないとできないもの
飲酒/喫煙/競馬・競輪・競艇・オートレースの券を買う/養子を迎える/大型・中型自動車運転免許取得/国民年金を納める義務を負う