小児慢性疾患

〜制度改正は誰のためか〜

 昭和48年に開始されたこの制度は、法律の根拠のないまま「小児慢性特定疾患治療研究事業」として行われてきました。治療については、これまで自己負担はありませんでしたが、4半世紀を過ぎ、より安定的な制度とするために昨年の11月、「児童福祉法」の中に位置づけられ、同時に制度の見直しが行われました。

 この見直しで、これまでの10疾患群・488疾患に慢性消化器疾患を加え、11疾患群・510疾患に対象が拡大されたり、入院・通院とも20歳まで延長する(東京都ではすでに実施済み)、また重症患者制度など、手厚い対応がとられることとなりました。しかし、一方で、新たに症状・検査値等による認定基準を設け、対象を重点化したことで、比較的軽症の方は対象から除外されています。所得に応じた自己負担も導入され、入院については月額11500円、通院は同5750円が上限と定められました。
 本年4月1日施行の制度改正に対して、東京都から本人に通知が届いたのはこの3月初旬。実質1ヶ月の猶予もない状況でした。何の予告も説明もないまま、突然通知を受けて、対象除外となった方々の心情は察するに余りあります。自治体担当者らは、こうした方向にあることは把握していたようですが、国から自治体に通達が届いたのは2月半ば、そして東京都からの本人宛通知の時期が前述のとおりです。新たな書類申請手続きも、通知の中では3月中に完了するようにとの指示でしたが、拙速に過ぎたことから、4月中ならOKということに現時点では変わりました。適切な期間をおいての説明がなされていないことで、当事者の混乱を招く結果となっています。
 通達されていないことを発信することはできないという行政側の言い分もあるでしょうが、それにしてもせめて法律改正の後になぜ概要説明くらいできなかったのでしょうか。当事者不在のこうしたすすめ方、いつになったら改められるのでしょうか。当事者の立場に立った適切な情報公開と説明責任こそが問われます。