今年の4月、初めて廃園のことを聞いたときは、国がすすめている幼保一体の総合施設にしていくのだろう、とまず思いました。全児童対策「すくすくスクール」を他に先駆けて全校展開した江戸川区が、少子化の流れの中で、今度は幼児教育においても「すくすく」同様、家庭状況によって子どもを分けない、子どもの立場に立った施策を行っていくものと思ったのです。しかし、区の判断は定員割れの幼稚園は廃園、待機児のいる保育園を残すといういかにも単純なものでした。議会に出されていた「松江幼稚園の存続を求める陳情」については、私たち「市民クラブ」は、願意は十分理解できるとして「趣旨採択」としましたが、結局不採択となりました。現在配布中の「議会ニュース」でもお知らせしているとおり、区は結論を出す前に幼保併設、あるいは幼保一元化も十分視野に入れて検討すべきだったと思います。「一元化は過疎地域になじむもの」という区教委の見解はなんともお粗末です。また、何よりも幼児教育、保育についての長期的な方針・指針が必要です。それがないために、都の突然とも言える発表に、区が振り回される格好にもなりました。(今年3月にまとめられた区の「次世代育成支援行動計画」には、今後も6園体制をとっていくことが記されているのに、です。)
今後に向けて、江戸川区の幼児教育はどうあるべきなのかを見定めるために、先日、足立区の「おおやた幼保園」を会派で視察しました。開園のきっかけは、やはり区立幼稚園の廃園にあります。5園あった区立幼稚園が現在は3園に。そのひとつがこの幼保園です。足立独自の考え方、その手法、随所に自治体の創意工夫が見られ、時代を見据えた上での惜しみない努力がされていることを大変頼もしく思いました。
地域事情に共通点のある足立区の取り組みを次回ご紹介します。
(写真は「おおやた幼保園」。保育室に広い木製のデッキが続いている。デッキで遊ぶときのために、地域の方がよしずで日よけ対策をしてくださったとのこと。)