23区サーマル、環境モデル都市と反対の方向へ

生活振興環境委員会視察報告

 定例会準備に追われ、きちんとご報告できていなかった都市視察(9/3〜5)について、改めて報告します。

→水俣ではリユースのしくみも充実。

●水俣市「リサイクル」

 東京23区のサーマルリサイクル本格実施を前に、環境モデル都市・水俣市を訪問できたことは大変意義深いことでした。
 平成5年から試行錯誤を重ね、現在は22品目のリサイクルを行っている水俣市は、かつては廃プラスチックを焼却処理していました。しかし、平成4年に爆発事故が2度起こり、工場の修理に数千万円もの費用がかかったことから、分別が必要と判断、全国的にもお手本とされるリサイクル行政へと転換したのです。今日、このような自治体は多く、水俣市はサーマルリサイクルも実施していません。
 
 一方、東京23区はまずは①プラスチックのリサイクル、それがどうしてもかなわないものに限り②焼却して熱回収するサーマルリサイクル、を実施することを申し合わせましたが、①を各区の努力事項②を全区一斉決定事項としたために、費用対効果や施設確保の難題をクリアできないとする区は、来年度からほぼ全量を焼却処理する傾向にあります。未だ拡大生産者責任が確立できない中では、焼却される質・量ともに不安が残り、リサイクルを重視する姿勢は同じとはいえ、結果的に水俣市とは反対の方向に向かっている現状を注視していかなければならないと考えます。
 
 また、質疑の中で、①分別品目の増加については高齢化がネックであること②廃棄がリサイクルに変わっただけで、一人あたりの排出量は変わっていないこと③リサイクルの入口は確保しても、その出口についてはわからないこと、が浮き彫りになりました。これは水俣市も23区も、おそらくどの自治体も共通の課題として対処していかなければならないことだと思います。
 
 すでに定例会報告でお知らせしたとおり、今回の視察を議会質問にもつなげ、水俣市が実施している、家庭から出る生ごみのリサイクルについても提案しました。自然由来の生ごみは、永続的な資源化が可能なリサイクルの優等生。花と緑のゆめ産地・江戸川区の特長的なリサイクルとして、身近な地域で循環型社会をつくる方策にしていきたいものです。

●宮崎市「宮崎ブランド」

 「売れるものをつくる」として立ち上げた「宮崎ブランド」ならば、その推進体制に消費者も入れたほうがよいと思いました。「こういうものを売りたい」というだけでなく、「こういうものなら買いたい」という視点も大事です。私が加入している生活クラブ生協では、組合員がほしいと思う消費材を自ら開発し、提携生産者や価格決定についても、またその後の監査についても、組合員が主体になって取り組んでいます。だからこそ、みんなが食べ続ける意識を高く持つことができ、このことが国内自給を、また生産者を守ることにもつながっていくのです。下段に写真紹介した水俣市の「きばる」も提携生産者。水俣病の被害者は決して加害者にならない、という強い決意のもと、安全を第一に、皮まで食べられる甘夏をつくって下さっています。
 「宮崎ブランド」品といえば、ひとつ2万円の「宮崎マンゴー」が有名ですが、ブランド品目は30にも上り、「きゅうり」などの身近な野菜については、やはり地産地消も大事にすべきだと感じました。
 「環境循環型野菜」については、前述の通り、生ごみを堆肥化し地場農業に活かす提案につなげました。
 
 このところまた食べ物の偽装表示が相次いでいますが、「赤福」は私の里の伊勢ブランド。観光客の方々がこぞって買い求められるのと同時に、地元においても「やっぱり赤福がいちばん」という定評があり、地域でもとても愛されていただけに本当にショック。「KY」なんて言われますが、刻々と変わる時代の空気を読む力、本当に大事です。営業停止となれば、働いていた方々の生活も心配です。今、さまざまな分野でこれまでのやり方が通用しなくなっていることについて、改めて考えるべきです。特に繰り返される食品や薬害問題については、いつになったら予防原則が定着するのか。いい加減「どげんかせんといかん!」です。

↓宮崎県庁で、滝沢議員(左)と。右は、個人視察で訪れた水俣の生産者グループ「きばる」のホープ、のりちゃんと。(景色が田舎の伊勢志摩の海と重なります。)各地からお声がかかって、「きばる」の紹介に出かけるそうですが、最近とみにお話が上手になったと評判。今度、東京にも来てください。