「費用弁償」の行方やいかに?

「議会運営委員会」陳情審査報告②

→議会運営委員会は「議会改革」をテーマに福岡市議会を視察。(右端から3人目が私。1/31)議員のお金の使い方をめぐり住民訴訟が起きている。前期のメンバーが視察した三重県議会は04年、応召旅費を廃止、実費精算とする条例改正を行なった。 

19日の「議会運営委員会」では、2度目の陳情審査が行われました。前日の私の資料請求に対し、東京都の23区と26市の費用弁償の支給状況一覧が出されました。26市では支給がなく、23区でも2006年9月には杉並区が、07年7月には荒川区が廃止しています。21区の状況は次のとおり。

●新宿 2500円●中野・豊島・練馬・葛飾・江戸川 3000円●文京・板橋 4000円●千代田・中央・台東・北・目黒・渋谷・墨田・江東・足立 5000円●港・品川・大田 6000円 ●世田谷 住所地より2km未満及び公用車常用 4000円、2km以上 6000円

 この日の委員会では、前日よりも活発な質問や意見が出され、その中で議会事務局から、「報酬に費用弁償が含まれていないことは明確になっている」との説明がありました。しかし、そうでしょうか? 明確になっていないから、支給するところとしないところがあり、さらに、十分な納得を得る状況にないから、廃止するところが増えているのではないのでしょうか?(検討小委員会のメンバーではなく、事務局が説明することも??です)

今期は23区の議員を対象に特別区協議会が研修を実施しています。その中のテーマのひとつは「議会改革」で、昨年9月に東大名誉教授の大森彌先生の講演を聴きました。(大森先生は前期、江戸川区議会でも「行財政改革特別委員会」の講師としてお招きしています。)その中では改革のポイントとして「費用弁償」も取り上げられ、「戦前の議員は名誉職で報酬がなかったため、せめてもということで費用の弁償がされていた。戦後改革で報酬支給が入ったが、その時、費用弁償との関係を議論せず、今日に至った。交通費がいるなら支給して当然だが、会議が行われる時に1日行くといくらなんて、どうやって根拠づけられるのか。政令指定都市では軒並み廃止の方向。残しているのは交通費相当分であり、改革せざるをえない」と話されています。市民の立場からも専門家の立場からも、同様の指摘がなされている現状にあって、議会の当事者として「現行のままでよい」という、既得権を守るような姿勢では話になりません。

この日は採決となり、私たちは、前回お伝えした理由により「廃止すべき」と、本陳情に賛成しました。が、結果としては賛成は4人のみで、不採択となりました。

今期最初の委員会では委員長が議会改革ということを明言され、委員全員がそのことを共有したと理解しています。まさにそのひとつのポイントが「費用弁償」であり、陳情は不採択になったとはいえ、今後も議会の中で根気よく取り組んでいかなければと、思っています。ただ、今回の審査で改めて感じたのは、議員のことを議員だけで決めることの難しさ。自治体には「報酬審議会」という機関があるので、議員の報酬と費用弁償についても投げかけることをしてみてもいいのでは、と考えます。