「23区サーマルリサイクル」費用・施設・安心安全は誰が担う?

オールキャストによる徹底討論

→資源化推進区の立場で参加された山田杉並区長。資源化消極区にも参加要請をしたが、かなわず。ステージ右側には一組、都、環境省の代表者とジャーナリストが。
 
 

 2月19日から第一回定例会が開会中です。今議会では、20年度の予算を審議する「予算特別委員会」が25日から始まり、3月7日をもって審査終了。あとは11日(火)の総括意見を残すのみとなっていますが、この委員会に会派を代表して出席していたため、サイトの更新も滞ってしまいました。11日以降、私たちの質疑内容について、順次ご報告していきます。

 さて、予算審議が終わった翌日の8日(土)、杉並区で開かれた「岐路に立つ東京23区〜廃プラスチックの焼却はリサイクル・ウソ?ホント?」(主催:プラスチック問題シンポジウム実行委員会、協力:容器包装の3Rを進める全国ネットワーク、後援:杉並区)に参加しました。
 パネリストは、杉並区・山田宏区長、江東区議会・中村まさ子議員、せたがやごみをへらす会・植田靖子さん、容器包装の3Rを進める全国ネット・須田春海さん、東京23区清掃一部事務組合総務部・伊東和憲部長、東京都廃棄物対策部・森浩志部長、環境省リサイクル推進室・西村淳室長、ジャーナリスト・杉本裕明さん、とオールキャスト。さほど広くない会場に参加者は170人。市民の関心の高さが伺えます。

まず、それぞれの立場からのプレゼンが行なわれましたが、会場からいちばん「エ〜ッ!」というブーイングが起きたのが、環境省からの発言。「国は理念を示すだけ。処理が困難なプラスチックをつくらないようにというのは、資本主義に相反する。3Rの推進の観点から言えば、サーマルリサイクルによる熱利用は第一歩」。その前に大事なリデュース、リユース、リサイクルなくして、4番目の熱回収が第一歩とは、KYを通りこして、NDってヤツ?これに対して、3Rネットの須田さんからは「第一歩とはとんでもない。一括焼却は全面後退だ」との反論が。杉並区長は資源化推進区の代表として参加され、その中で「資源化に8億2500万かけるが、これは区としてやらなくてはならないこと」と自治する区長として毅然と話されました。須田さんはこれを受け「リサイクルに頑張っている自治体ほど過度な税負担を迫られ、焼却にまわる区が軽い負担で済む状況はおかしい。都区の財政調整で何とかならないか。」と問題提起を。
サーマルリサイクルの実施は、そもそも東京都廃棄物審議会が「プラスチックは埋立不適物」としたことに始まる、という説明を行政サイドが繰り返したことに対して、当時の審議会メンバーの女性から発言が。「審議会のポイントは、増え続けるプラスチックの処理をどうするかということと、ごみの有料化の2点だった。プラについては、今のまま埋め立てるのはよくない、という意見の一致をみたが、では焼却しようということを言った人は一人もいなかった。会議は5時までかかったが、なぜかその日の夕方のNHKニュースで『プラは焼却の方向』と報道された」。
 
 また、江東区の中村区議からは「江東区には世界最大の焼却工場があり、また中央防波堤にも不燃ごみ処理センターや灰溶融炉、PCB施設など廃棄物施設が多く存在する。この上、プラの中間処理施設を中防にという働きかけに対しては危惧を抱く。」との発言が。「確かに民家は近くにないが、廃棄物関係の車両は年間100万台が区内を通過する。現段階でも子どもの喘息が多い現状があり、ダイオキシン汚染やNO2による大気汚染がこれ以上すすむような施設建設は受け入れがたい。」改めて深く考えさせられる提言でした。
 
廃棄物対策については各区の自治は当然のことですが、この討論を通して、区、一組、都、国が、それぞれの立場や現状をよく理解しつつ、互いに連携することで、何とかこの難局を乗り越える総合的な方策を真剣に考え、実行するときなのだと痛感しました。