「終りよければすべてよし」にしていくために

十分な「介護」と「医療」を安心して

→会場の新宿文化センター小ホールは立ち見も出るほどの超満員。上映のあと、話される羽田澄子監督。「人間の生活をいかに支えるかをすべての発想の根源に。」  
  

  新年度が始まり、新たなスタートの春となりました。
  私たちの身の回りでも4月1日から、さまざまなことが新たにスタートしています。
 
 まず、23区ではごみ政策の大転換、「サーマルリサイクル」の本格実施があります。わたしの住む集合住宅の集積所でも、これまで「不燃用」だったコンテナのほとんどが「燃やすごみ」用に変わり、容器包装プラスチックのリサイクルに一生懸命取り組むとはいえ、こんなに焼却ごみが多くなるのかと改めて感じさせられます。
 また、区では、子ども医療費の無料化が拡大され、中学卒業まで医療費が完全無料に。
 その一方で、75歳以上のすべての方々から保険料を徴収する「後期高齢者医療制度」が始まっています。75歳以上の被扶養者からも保険料徴収、そして年金からの天引き、また、70歳から74歳までの自己負担の引き上げなど、混乱は必至です。制度の説明はあっても、肝心の個々の保険料額がまだ知らされておらず、江戸川区も郵送での通知が7月になることから、自分は一体どうなるのか、とさらに不安が増す状況にあります。
 だれもが安心して暮らし続けられる社会にしていかなければならないのに、介護保険といい、高齢者医療といい、ニッポンは安心して老いることができない方へとすすんでいるかのようです。医療や介護を安心して十分に受けられる制度を構築していかなければなりません。

 さて、先日、NPO法人「アビリティクラブたすけあい」の15周年を記念して上映された「終わりよければすべてよし」を鑑賞しました。記録映画作家の羽田澄子さんは36年前、がんで妹さんをなくしたときの病院の対応に疑問を抱いたといいます。医療は死を敗北としかとらえていない、と。病気を抱えた高齢者が在宅医療を受けながら、最後まで自宅で暮らし、自宅で安らかな最期を迎える、という誰もが望む姿を、この映画は映し出しています。羽田さんは、これまでも「痴呆性老人の世界」(86年)、「安心して老いるために」(90年)などの映画をつくってこられました。上映のあと、羽田さんのご講演がありましたが、認知症について、「衰える知能ではなく、残っている情緒に対応することが大事」と話されたことがとても印象に残りました。こうすることで、本人の精神が落ち着き、気持ちが安定し、異常な行動もなくなる、といいます。

 先の予算特別委員会では、超高齢社会への対応策として、在宅医療の充実と認知症のケアコミュニティ体制の確立を提案したところです。
  区には24時間対応の「在宅療養支援診療所」がすでに30ありますが、夜間の連絡がとりにくいことや家庭における医材料の確保など、課題も山積しています。さらなる充実を求めて、医師会の協力も得つつ、保健・福祉・医療の連携体制を地域に根付かせていきたいものです。