「発達障がい」は切れ目のない支援体制を

第二回定例会一般質問報告①

自閉症、アスペルガー症候群、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)などに代表される発達障害は、身体障がいや知的障がいと異なり、なかなか周囲から理解を得られにくい障がいであり、親のしつけの問題と見られる向きもあった。
文部科学省が行った調査によると、知的発達に遅れはないものの、学習面や行動面で著しい困難をしめす児童生徒の割合は6.3%であり、35人学級では2人の割合。制度の谷間におかれ、必要な支援が届きにくい状態にあったが、2005年に施行された『発達障害者支援法』では「発達障害は脳機能障害」と定義され、支援の対象となった。

東京では世田谷区に「東京都発達障害者支援センター」があるが、ここを訪れた際、「発達障がい」についての認識を新たにした。
「発達障がい者支援」は子どもが対象と考えられがちだが、ここに相談を寄せているのは、幼児から実に60代の方にまで及ぶ。この半分を占めているのが20〜30代の方であり、「発達障がい」を持つ人の年齢層がいかに広いかがわかる。特に、思春期以降、就職など社会生活を営む中での支援体制が不十分なために、当事者も家族も大変深刻な状況に陥っているということがあり、高学歴でありながら社会に適応できないなど、学校卒業以降のニーズがいちばん高いという。このセンターだけでは、受け入れ態勢が整っているとはいえない状況であり、自治体における取り組みが求められている。

そこで、提案を含め3点質問する。
まず、区では学校教育終了後の発達障害者の現状をどのように把握しているか?成年期における支援として、相談窓口の充実や専門の医療機関との連携、また、相談後の社会生活をおくるための支援体制の整備などについて、どのように考えるか?
また、早期発見・早期療育が極めて重要であり、区では1歳半と3歳児健診において取り組みをすすめている。その際に保護者と専門家による「問診票」を作成するが、それをもとに「支援ノート」のようなものをつくり、就学時や中学進学の際の支援シートと連動させ、その後の進学や就労などについても継続して活用していくといいのではないか?成年期の相談を支援につなげていくとき、過去を振り返ることは不可欠だという。当事者の手元に履歴をシートに残すことで、その後の支援をスムーズに行うことができると考えるが、いかがか?
3点目は、今年度策定予定の「第二期障害福祉計画」への発達障害の位置づけを強化し、ライフステージに応じた切れ目のない支援体制をつくるべきと考えるが、見解を伺う。

区長答弁⇒発達障がい支援については、対応が難しく国全体として確立が遅れたが、最近取り組みをしっかりしていかなければならない機運が出てきている。当然私どももこれに対して体系的な取り組みをしなければならないと思っている。率直に言って今、区として胸を張って言えるものはないので、今後、実態把握を、これは何らかの集団に入っていればある程度の把握はでき、相談にも応じられるが、そうばかりではない問題がいろいろあるので、全区的にそういう方々に対する実態把握、支援のあり方、関係機関との連携の取り組みのあり方をしっかりと確立しなければならないと考えている。「障害福祉計画」については、関係者のみなさんで十分協議をしていかなければならないが、実効性あるものがどういうふうに担保できるかということをかね合わせて考えていきたいと思っている。

まだまだこれからという段階ですが、成人の困難な生活状況についての相談には、継続的にアドバイスすることが療育と同様の効果があることから、まず相談事業については着手していってほしいと考えます。