自治体は今、次世代育成支援行動計画の後期計画策定に向け準備を始めています。前期計画策定時には内実が伴わなかった重要な視点、子どもを権利の主体者として尊重し、子どもの権利実現を図ることを盛り込まなければなりません。その根拠となる「子ども条例」を持つ調布市と世田谷区の担当課長の報告を中心に会は進められました。
どちらも、子どもの意見収集には当然のこととして力を入れており、調布市は条例制定にあたり、保護者や関係団体とは別に、小・中・高の子どもたちとの意見交換を6回重ねたといいます。初対面の行政マンに心を開いてくれることはもちろんなく、信頼関係を築くことが大事であること、また、来てもらうのではなくこちらから直接会いに行く、その時はお菓子とジュースを持って、と知恵を絞って努力している様子が報告されました。市に三校ある都立高校にも参加を呼びかけたところ、三校合同の意見交換会が持たれ、貴重な機会だったと学校側や生徒たちから感謝されたエピソードも。「市長への手紙」の子どもバージョンもつくり、意見聴取に役立てました。会場からは、子どもたちの意見を聞きおくだけにせず、回答を必ず出すことや、できることは実現し、子どもに達成感を持たせて、意見表明することの重要性を実感させることが大事、との意見がありました。
先日の区議会一般質問で、私たちが「子ども参加」を訴えたところ、区長は「子どもの意見を聞くことや子ども参加と言われても、理屈は理解できるが、どんな方法があるのか」と答弁。江戸川区はこの調布市の姿勢を見習わなくてはなりません。
こうした過程も経て「調布市子ども条例」は3年前、子どもや子育て支援策の方向性を示すと同時に子どもの権利や虐待防止などの確立を図るために策定されました。そしてこの総合的な指針を具体的に進めるプランとして次世代育成の前期計画ともなった「調布っ子すこやかプラン」がつくられているのです。
また、世田谷区では2005年の区長選において、子ども施策推進のトップであった助役が前区長の後継者として立候補したものの落選。子ども施策にどのような影響が出るか懸念されましたが、2002年にすでに「子ども条例」ができていたことで、トップが代わっても大きな理念として引き継がれ、条例の意義の大きさが再認識されたといいます。
家庭のあり方や子育て支援ニーズの多様化、また、保育の分野にも新たなサービス手法が登場する今日、やはり子ども施策には子どもの権利の視点が欠かせません。
江戸川区も、すべての子どもの育ちに関する基本的な方針を、権利を基盤に置いて立て、条例という形にしていく必要があると考えています。