第3回目となる今日は、1月に区内を6つに分けて実施した「景観まちづくりワークショップ」から、現況と課題などの報告が区民委員からなされ、次いで事務局(受託事業者)から「えどがわらしさのある景観形成の基本的な考え方」や「景観区分」についての発表がありました。
まち歩きで感じたことについての区民発表では、たとえば一之江について「先がどうなるかわからない区画整理が行なわれている。中途半端でちぐはぐな開発だ」。明和橋については「橋の形の意味がわからない。眺望を悪くしている」。一之江境川親水公園は「冬場のことを考えておらず、今はただの小川。一年を通して楽しむ工夫が必要」、篠崎ビオトープは「車椅子対応のアスファルト舗装がマッチしていない」、西葛西駅広場については「モニュメント前にある区の注意看板はどうしたものか?」などの率直な意見が次々に出されていました。
そのあと事務局から示された9つの「景観区分」の説明については、ここまでの丁寧さに比べて、いかにも安直にまとめ上げようとしている姿勢に違和感を感じていたところ、委員長、副委員長から物言いが。委員長の進士五十八先生からは「全区をカバーしようとする余り、ロジカルで機械的にやろうとしすぎている。人が暮らす中でそこに歴史性が積み重なるなど、さまざまな要素が重なっているものを図面化するのは無理がある。マッピングによる材料提供にとどめ、そこからみんなで議論することだ」。また、副委員長・大江新先生からは「9つの区分は舞台装置とソフト面など異質なものが混ざり合っている。9つにこだわる必要はない。たとえば『ゆとりや懐かしさを感じる』は、『歴史を伝える』や『文化を感じる』といった区分の結合と言える。また、いいことだけが連ねてあるが、無くなったものを蘇らせる視点も大事だ」との指摘が。
区民委員からの「啓蒙についてはどうするのか」「区民参加はどの段階で行なうのか」といった質問に対しては、事務局より「6段階設定しているすすめ方の中で5段階目に取り入れていく」と回答がありました。委員長からも「プランニングはプロセスが肝心。こうした会を何回開いた、専門家に聞いたからいい、ではない。行政は論理だけが正しいと思っていたがそれは違う。プランを区民参加でやっていくことだ。」との心強いアドバイスが。
「区民とともに」「生活している人が行なう」など、こうした示唆は、景観行政のみならず、広くまちづくり全体に広げていきたいものです。