容器包装プラスチックのリサイクルを全面展開した今年度は7億2千万の予算を組みましたが、09年度予算は5億1500万円で、2億500万円の減額になっています。その理由は、05年度のごみ組成調査から容器包装プラスチックの資源化量を日量17tと割り出したものの、良質にこだわったため焼却に回るものも多く、実績は11tであるため、09年度は日量12tに修正したことによるものです。
リサイクルのためには廃プラをきれいな状態で出すことは重要です。戸建ての多い地域に比べて、マンションの多い地域ではやはりこの意識が浸透していないことが課題です。集合住宅だけが存在する小松川地域のある団地では、住民はリサイクルのためにプラを分別して出してはいるのですが、汚い状態のものが多く、結局出された量の3分の1程度は回収車に乗せる前に、団地の清掃に入っている方々がやむなく焼却に回しているのが実態です。担当の方の話では、袋に入った内容物をひとつひとつチェックすることはさすがにできないので、汚いものがいくつか混ざっていると判断したら、そのまま可燃のコンテナに入れ替えているといいます。このようなことはおそらくどこの地域でも行なわれていると思われます。本人はリサイクルに出しているつもり、でも結局は焼却処分されているという事実をきちんと区民に伝え、意識をさらに高める必要があります。プラスチックも軽量化がすすんでいますが、それにしても組成調査から割り出したデータより5tも少ない状況はよくありません。
このような状態が続くと、区内の中間処理施設「江環保エコセンター」の運営も懸念されます。日量17tを見込んでいた昨年の委託料予算に比べ約2億の減少です。江戸川区では、江戸川環境保全事業協同組合との連携により、区内に中間処理施設を持つことができました。指定法人ルートにのせて資源化するという理想的な形をいち早く確立できており、tあたりの処理費用も他区に比べて安く、一度のトラブルもなく事業展開しています。他区から視察に訪れる方々の評価が高い由縁です。
やはりきれいな状態の廃プラを当初予測の日量17tまで引き上げていくことによって「江環保エコセンター」も軌道に乗せることができます。さまざまな機会をとらえてさらなる区民への啓発を行い、資源化率をアップさせることが必要です。09年度、区の廃プラは、状態の良さが評価され、マテリアルリサイクルされることが決まっています。
さて、サーマルリサイクルは23区区長会での申し合わせで始まりましたが、いちばん大事なリサイクルについては各区事項、焼却については全区事項、としたことを逆手にとられているところがあります。「各区事項だからしない」という区が複数ある中、区と区民の努力でリサイクルに頑張っている区ほど過度な税負担を強いられています。自治していることを誇るべきですが、23区の足並みが揃わない状況においては、都区の財政調整の中に、この費用を入れることも考えられるのでは、と質問したところ「あれもこれも財調でということはできない」とのことでした。しかし、容器包装プラスチックのリサイクルは清掃事業におけるひとつの施策というのではなく、23区が今取り組まなければならない最重要施策ととらえる必要があります。
09年度、世界最大規模の清掃工場を持つ江東区が資源化の方向性を打ち出したことは大きな動きであり、大田区も2011年度モデル実施、12年度本格実施を発表しています。さらに拡大し、23区総体としてのプラスチック資源化を達成しなければなりません。