区は、事業計画もない北小岩一丁目東部地区について、この4月から補償金算定をするための事業係を置き、まちづくりニュースの最新号では「早期の事業実施に取り組む」として、今年度に都市計画決定、事業認可申請を行うと伝えています。「住民との合意を丁寧に行なうこと」については、これまでの審査の中で各会派が共通して述べてきたことです。前述の通り、この1年だけでも反対陳情は11本(1本は早期推進陳情)に上り、これまでの総署名数は累計で3万筆を超えています。また、前サイトでお知らせした通り、この地区で区が先行買収した土地建物の住民監査請求が出されるなど、依然として見直しを求める声は大きいと言えます。東部地区(18班)について、都市計画決定をするのなら、現状における住民合意の達成度を公表する、監査請求の結果を待つなど、推進を判断する根拠となるデータを示し、住民の納得を得るプロセスを踏むことが先決です。事業ありきで、協力のお願いに終始するのではなく、区民の対案や疑問を受け止め、ともにまちづくりを考える姿勢が必要だと述べてきたところですが、区がこのタイミングで強行姿勢を打ち出すことは、全く理解に苦しみます。
先行買収は区民・区双方にデメリットがあると指摘してきました。この「先行」という言葉ですが、いかにも確たる計画のもとに行なわれている印象を感じさせますが、税務署の審理専門官の取り扱いは「任意買収」です。新たに賛成陳情が出されたところですが、事業計画もないエリアの住民に「不確実な計画では安心して将来設計を立てることができない」と思い悩ませ、追いつめていること自体を区は反省すべきだと考えます。
97年(平成9)の河川法改正で、住民の意見を反映させた河川整備計画策定が義務付けられながらも、未だこれを持てない国。一方で、独自に整備方針を定めた区。このパートナー同士のアンバランスも不安材料です。国のダム建設計画が地方の意向で相次いで撤回されていますが、何十年も前の計画に縛られる道理はなく、現在の社会状況に照らせば当然のことです。スーパー堤防も20年以上前、バブル期に創設されたものであり、しかも事業完成は200年先などと言われる中では、この事業の持続性は極めて不確実であり、社会保障のセーフティネットが大きく揺らいでいる中では、所得再配分の観点からも見直しの余地があります。