保育事業の質と量をどう担保するか?

子どものセーフティネットと男女共同参画のインフラ

→「保育園を考える親の会」代表の普光院亜紀さんを講師に招き、保育制度の問題点を確認し、今後の保育のあり方を探る。都庁議会棟にて。

国の保育制度改革の動きの中では、保護者と保育サービス提供者との直接契約方式や保護者への直接補助方式の導入、「保育に欠ける」要件の見直しなどが争点となっています。こうした動向を踏まえ、生活者ネットワークでは、東京都が先行して実施してきた認証保育が国のモデルとなる可能性もあることから、改めて認証保育所についての自治体調査を実施、ネット組織のない11区・5市・1町にも調査をかけ、データをまとめました。

女性の社会進出がすすみ、また、ひとり親家庭の増加、さらに昨今の不況のあおりで働かざるを得ない状況の増加など、現在の社会状況の中では、男女共同参画社会をすすめるインフラとして、生活不安を支える機関として、子どものセーフティネットとして、保育園の役割は以前にも増して重要です。

特に東京都は2007年から0歳児が増加、2010年度は3歳児の待機児問題が急増する年になると予測されています。江戸川区でも現在、待機児が500人近くおり、対策が急がれるところですが、学校の空き教室など、保育の場でなかった施設を利用した認可園の分園を整備する検討も必要ではないでしょうか。あくまでも認可園ですから、施設や職員などの基本条件もクリアされるものです。

さて、開会中の第4回定例会に上程されている補正予算には、新たな認可保育園の助成費が計上されています。国の安心こども基金、都の待機児解消助成金を活用して、来年度、西一之江に認可保育園を開園するための補正であり、葛西地区の次に待機児の多い中央地区での認可園新設は喜ばしいことです。今回の事業者は都内各地で広く認証保育所を経営している企業で、区内でもすでに開設しています。区内の保育事情にも明るい保育の専門企業ですが、江戸川区で区外の企業立による認可保育園開設は初めてのことです。

議案の中には、区立園民営化についての条例改正案もあり、来年度2園の民営化がすすめば、民営化園は8園。現在、その受け皿は、区の保育環境を守るため、区内の私立保育園・私立幼稚園すべての代表者で構成されている「社会福祉法人えどがわ」ですが、ここに、今回参入する区外のフランチャイズ企業が加わることもまた初めてのこと。前述の助成活用で、来年度も認可園新設が予定されており、同様の企業立がすすむことも予想されます。民営化を請け負う「法人えどがわ」の基盤強化とするのか、あるいは、「法人えどがわ」だけに委ねていることが、言わば随意契約ともなっている状況を変えていくのか、区民も交えて十分な議論を重ね、区としても判断していかなければなりません。