障害者施設における指定管理料の考え方

2010年度予算特別委員会報告⑥

 現在、区の障害者施設のうち、4施設の指定管理者に東京都知的障害者育成会という社会福祉法人が指定されています。この団体は障害児の保護者たちの願いを受けて創立され、半世紀にわたって東京の障害者福祉を支えてきた大変実績のある社会福祉法人。現在は23区の33施設で指定管理者になっているのを始め、その他にもたくさんの福祉事業を展開しています。

 江戸川区では平成16年度に2施設、次いでもう1施設と、本制度を導入した3つの施設において、年々指定管理料がアップされており、22年度も増額となっていますが、確定している20年度の決算状況をみると、3施設とも1600万円から2200万円ほどの残額があり、20年度は計5500万円が区に戻され、さらに1施設増えた今年度は7900万円が戻される見込みです。障害者施設は定員があり、不特定多数の人が利用する施設ではなく、利潤を上げることとも無縁。特徴的なこととしては、施設の性格上、専門家を多く配置しているということがありますが、指定管理料の設定についてはそれほど誤差が生じるものではないと考えられ、なぜこうした状況を生んでいるのか質問しました。

 回答は、主に人件費の不要額とのこと。確かに専門家の配置が一人減ればそれだけで700万〜800万円ほどの差が生じるでしょう。しかし、最も早く16年度にこの制度を取り入れた「みんなの家」は、当初から4300万円の戻し入れを行なっており、その後も残額は毎年発生、20年度は先に述べたとおり指定管理料の6.5%、2200万円が戻されています。毎年多くの不要額が出る状況については、善後策を講じるべきではないでしょうか。

 こうした手法は区にとってどのようなメリットがあるのか、と聞いたところ、不要額が返金されること、との答弁。しかし、指定管理者側にとっては、余るほど潤沢な管理料を手にすることで、運営におけるコスト意識が希薄になるのでは? 指定管理者制度の特長は、サービスの拡大とコスト削減を同時に達成すること。積算や精算の考え方が直営の時と何ら変わらないのでは意味がありません。
 
 この法人は、指定管理者制度の始まるずっと以前から自治体の事業を受託してきていますが、ここを障害者施設の指定管理者に指定したのは江戸川区が初めて。区も制度の理解不足やノウハウがないままの指定になり、その検証もされてこなかったのでは? まずは指定管理料の積算根拠の見直しを求めました。