「子どもの権利」の学び直しを

2010年度予算特別委員会報告⑧

1月に発生した児童虐待死事件については「福祉費」で集中審議が行なわれました。

まずは、子どもが日常を過ごす学校現場での虐待の認識や対応力を向上させることが必要です。

2000年にできた児童虐待防止法に「学校」という文言は一回した記載がありませんでしたが、4年後の改正法の中では7回も登場し、学校の存在が強調されました。予防啓発と研修の責任が明文化され、教職員には虐待の早期発見の義務が法で課せられたのです。

さらに、江戸川区教育委員会は教育目標の第一に人権尊重を謳っています。「憲法や教育基本法、また児童の権利に関する条約等の趣旨を尊重する」としていますが、生きる、育つ、守られる、といった子どもの基本的な権利が、いちばんそれを理解し具現化すべき学校においてなされていませんでした。

歯科医が気付くあざに、日常的に接している教員は気付いていなかったといい、二度と暴力をふるわないという親の言葉をそのまま信じたことなど、そこには子どもの権利を守るという姿勢はまったく見えません。

基本的に教職員は「保護者といい関係を築く」という意識が強くあります。親とのいい関係を継続しながら、ことを広げることなく解決したい、という考えが先行し、保護者対応を優先させてしまいましたが、その前に、目の前の子どもの状況を理解するよう努め、子どもの最善の利益を第一に考えるべきでした。

私たちは、これまでも子どもが自分たちに関係することに参加する権利や子どもの意見表明の重要性を訴えてきました。今回の場合、親へのアプローチや親とのやりとりは報告されていますが、児童本人と向き合って対応したという報告はありません。学校を休みがちで、通院や入院もあり、家庭訪問すれば顔がはれ上がったような状態にあった子どもに対して、担任や養護の先生、スクールカウンセラーなどが、子ども自身が心を開いて真実を語れる状況をつくれなかったのか。また、十分な配慮を持って接する上では、体の傷を確認することもできたはずです。子どもをひとりの主体として対応することを基本にすべきであり、今後の教職員の研修においては、「子どもの権利」の学び直しを提案しました。