補助金行政が生んだ「スーパー堤防」、問われる区の判断

平成21年度決算特別委員会報告②

平井7丁目北部等の土地区画整理事業は、21年度で事業が完了し、関連費用については最後の計上。今年の第二回定例会で本事業の施行規程も廃止しています。

すでにお伝えしている通り、この区画整理事業は、区が初めて、スーパー堤防事業と一体としてすすめた事業。これからも事業をすすめていく方針であるならば、完了したこの事業について、さまざまな角度から評価・点検するプロセスが必要ではないか、と考えています。

そこで、総事業費と清算金の資料請求をしましたが、区画整理の総事業費については35億600万円で、私が以前調べた額より6300万円ほど少なくなっています。これについて質問したところ、所管課の回答は「わからない」というずさんなもの。そこで財政当局に同じ質問を向けたところ、「誤差の金額については、本格事業前の用地測量費や補償算定調査費などの費用である。総事業費であれば、当然含むべきもの。」との回答がありました。区の大事な決算でありながら、このような資料を出すことについて、所管課の意識は低いと言わざるをえません。

国の負担となるスーパー堤防事業費を含めるとその総額は83億円。わずか1.2haという面積に対してですから、事業を1㍍すすめるのに5500万円以上かかる計算です。河川費であるスーパー堤防事業費全額47億円と区画整理事業費31億9600万円を合わせ、国負担が78億9600万円、区画整理事業費に関して都の都市計画交付金が7200万円。よって区負担は区画整理事業費3億円となりますが、この内1億6200万円は特別区財政調整交付金が充てられているため、区としての財源投入は実際のところ1億3900万円。区は、財調を含めてもわずか3.6%の負担で済んでいます。

国からこれだけ負担金や補助金が出るのなら、やらなきゃ損、という考えが生まれやすいこともよく指摘されること。実際、江戸川区もこれまでの説明の中では「区のお金を使わなくていい」ということを言ってきています。

現地を視察した前原前大臣は、税をここまで投入するあり方に疑問を呈し、手法の見直しを表明。東京駅の建て替えを例に挙げ、民間の資本と知恵を入れる考えを示しました。しかし、東京駅ならともかく、ローカルなまちの事業であり、行政が主導しようとしてもなかなかすすまない事業に民間の参入は考えにくいのでは? であれば、国の財政が逼迫していることや、堤防強化の新しい手法も考案されている中、これほどの費用をかける事業を持続していく必要があるのか、また持続していけるのか、国は今後も当然考えていくはずです。

今私たちが地域で生活する中では、福祉や医療への税の投入を望む人が圧倒的に多いのが現状です。公共事業の中でも、生活のために必要な道路の補修や橋の架け替え、また通常の河川改修や耐震化など、すべき事業はたくさんあり、この予算を削除することはできません。そうなれば、このような特別な公共事業、まして遅々としてすすまない本事業の持続性は当然問われることになるでしょう。

国がこの事業を廃止していないから、ということではなく、交付金を受ける側の自治体としても、改めて考え直す必要がある、と意見を述べました。