昨年末、総務省自治行政局が各地方議会議員共済会あてに通知したところによると、制度廃止に伴う経過措置としての給付に関する費用を措置、地方交付税として1300億円を計上予定とのこと。この内訳は都道府県分100億円、市町村分1200億円です。しかし、23区は地方交付税不交付団体ですので、この適用を受けることはできず、6月時点で議員共済会が保有する積立金の残額を除き、毎年度自治体が公費負担することに。
地方議員年金はこれまで、在職12年以上が年金受給資格の要件であり、それ未満の議員には年数に応じ、掛金総額の49%から64%の範囲で一時金が支給されていました。しかし、今後、現職議員からの掛金収入がなくなることから、すべての現職議員に一時金としての受給を認めています。12年以上在職の議員は、一時金と年金受給、いずれかが選択できるということです。
廃止にあたっての対応方針に則って、江戸川区議会の状況をあてはめると、新年度予算は2億8500万円となり、今年度の5500万円に対し、5倍以上の公費投入となります。これは掛金総額の80%給付を前提に、今期で退職する議員が全員一時金を選択した場合の経費を含んでいます。
総務省では、在職12年以上の年金受給資格者にも一時金を認めることで、公費負担額が短期的には増加するが、その後は大きく減少し、公費負担総額は抑制される、としていますが、掛金総額80%給付について、市民の納得を得る説明はなされず、議員年金制度破たんの責任についても言及はありません。全国的には、今後約60年間で1兆3600億円が必要と試算されており、これでは市民の理解が得られるとは到底考えられません。
そもそも、こうしたことが、主権者、納税者である一般市民の目にふれないところで決まってしまうことが問題です。私たち生活者ネットワークは、議員年金廃止を訴える中で、 議員年金財政について市民への情報公開をすすめ、一時金等については第三者機関を設置して検討することを求めてきました。 また、 年金の一元化へ移行するまでの経過的措置として、 公的年金・他の議員共済年金との併給の廃止、公費負担率の引き下げ、 給付水準の引き下げ、 遺族年金の廃止 を要望してきたところです。しかし、特権的制度はそのまま、市民判断の余地はまったくなく、住民自治とかけ離れたままです。
地方議員年金廃止を機に、議員の役割やミッション、それを保証する議員報酬や議員の身分など、市民と一緒に議論し、住民がどんな議会を求めるのか、改めて地方自治のあり方を考えるきっかけにしていきたいと思います。