区が提出している事業計画案は、スーパー堤防事業と一体のものとして区民に周知され、国との共同事業を前提としたもの、しかし、認可権者である都の見解は、スーパー堤防事業を前提としない区の単独事業としていることをポイントに、そもそも区においては、区民への説明責任が果たされていないことを問題にしました。
17日に行われた他会派の同趣旨の質問に対し、区長は「単独事業と言ったことは一度もない。スーパー堤防事業と一体のものだ」と答弁しました。
しかし、1月25日の都議会での質問に対する都の市街地整備部長の答弁はこうです。
「もし仮に高規格堤防事業が事業化されると、区の35億円の負担のかなりの部分は国費によって賄われるが、残念ながら今後抜本的見直しを図るという状況になっているので、区としては単独費を工面して事業資金に充てるという決断をしたと都は受け止めている。盛土造成については、高規格堤防事業がストップしているので、これを土地区画整理事業によって行うという計画になっている」。
同じ事業計画案についてでありながら、これを提出した区と、認可権者である都の説明は、余りにも違いすぎます。
都が単独事業としている根拠は、事業計画案そのもの、そして、1年前、区が国と交わしていた協議文書の存在です。事業計画案は、土地区画整理事業についてであり、資金計画も区単独費として示されているもの。さらに件の協議文書の内容は、区画整理の施行区域以外の部分も区が盛り土造成する、などです。これをもっての都の判断は妥当なものです。区の説明、答弁こそが事実を伝えておらず、不明確で、不適切で、不誠実なのです。
本事業は、平成21年度の第1回江戸川区都市計画審議会に、都市計画決定が諮られましたが、その際の「議案の概要」には「国土交通省の高規格堤防事業と共同で行う予定である」と示されています。また、区議会には昨年の第一回定例会において、本事業の施行規程が上程されましたが、その資料には「スーパー堤防と一体整備による事業実施が前提」と明記され、その中にあるスケジュールには「平成23年3月、スーパー堤防事業者と共同事業の基本協定締結」と示されています。この資料の日付は、区長が国に協議文書を提出した翌日となっています。
現在都に提出されている事業計画案にも「本地区のほとんどが高規格堤防の施行範囲に位置する」とされ、この中の資金計画も当然これを踏まえたものであることは、昨年の議案審査における区議会総務委員会議事録に明らかです。「国が事業化しなかった場合、すべて区の負担なのか」との質問に対し、「国が共同でやらないことを区は考えていない。国と共同してやっていく」と答弁しています。ちなみに、本議案の審査日は、区が国から単独事業としての協議成立の回答を得た直後の3月11日です。
1年前、秘密裏に協議がなされた結果、ここへきて、これまでの説明と異なる単独事業案が発覚した以上、都市計画法に則って手続きを進めてきた本事業計画案は認可申請に値しないものです。まずは事業案を取り下げるべき、と主張しました。