学校給食食材費の公費化を〜その2

2011年度予算特別委員会報告③

「私費でも公費でも保護者負担であることは変わらない」との答弁がありました。実際、義務的に支払っている保護者にすれば、公費と私費の区別がどうであろうと関係ないかもしれません。しかし、滞納があった場合には、実際に納めている児童生徒の家庭がその分を負担することになり、一食あたりの単価が事実上引き下げられ、給食の質の低下にもつながります。私費であれば、強制徴収することはできませんが、公費化して行政の責任を明確にすれば、徴収の対応を強化することができ、滞納を減らすことで保護者負担の公平性につなげることができます。

福岡市は「学校給食費条例」を制定、「市長が徴収する」ことを明確にしたことで、滞納者への対応が厳格に実施できるようになっており、滞納期間に応じて延滞金を課したり、最終催告にも応じない場合は、法的措置をとり,差し押え等の強制的な回収を実施、すでに3件差し押えがあったということです。

江戸川区の滞納率は0.16%と低いとか、自校式給食だから、ということをはじめに持ち出すのではなく、まず念頭に置くべきは、会計運営や事務の透明性の確保、そして説明責任を果たしていくことだと考えます。

学校における公費と私費の考え方ですが、憲法26条の2に、「義務教育はこれを無償とする」と明文化されたものの、その4か月後に成立した教育基本法では「義務教育については、授業料を徴収しない」と、その範囲が狭められました。当時は戦災復興の中にあり、全額無償は困難であったため、その範囲をまずは授業料とし、その後、就学援助費や教科書無償が整備されるなど、憲法の考え方に近づく努力はなされてきました。東京都も昭和42年、私費負担解消を目的として「義務教育学校運営費標準」を設定しています。これは、公費負担の最低基準を定めたものだったわけですが、都が公費の算定からやむなく除外した費目を掲げたこの一覧表は、それが逆に私費負担の区分を明確に表したものであるかのようにして全国に広がっていったといいます。私費負担を少しずつ解消しようという本来の趣旨とは別に、私費の取り扱いが固定化する傾向が強まっていったという経緯です。

子ども手当法案の行方が注目されるところですが、今回の法案では、新たに「子ども手当から保育料の徴収や学校給食費の納付を可能とする仕組みを設ける」とされています。強制徴収公債権の保育料と、私費の食材費が同列の扱いとなっています。これは、食材費が名実ともに公費と認識されているからであり、こうした動きもひとつのきっかけとし、公費化への移行を検討すべきです。