指定と契約における競争性・公平性

2011年度予算特別委員会報告⑨

  指定管理者制度は、多様化する住民ニーズへの効果的、効率的な対応に寄与するものですが、自治体においてさまざまな取り組みがなされる中で、留意すべき点も明らかになってきました。これを踏まえ、昨年暮れ、総務省から新たに通知が出されています。単なる価格競争にしてはならないこと、雇用・労働条件に適切な配慮をすることなどが改めて示され、また、指定管理料については、債務負担行為として予算書に反映されることにもなりました。

  私たちは、これまで、指定管理者制度には独自の評価制度が必要と主張してきたところですが、新年度から、社会保険労務士、公認会計士といった専門家も入り、労務・財務も含めた第三者評価が実施されることになりました。区立図書館への本制度拡大については、意見が二分されていることから、実施館における第三者評価をまず実施し、今後のことを決めていくべきと意見を述べました。

  昨年は、多くの区民施設で指定管理者更新の時期でした。指定管理者制度は原則公募。事実上の競争入札であり、入札の仕組みと非常に似通っています。コスト削減とともに、平等利用、施設の効用、安定的管理能力が求められ、公正労働基準や社会的価値も基準として自治体が判断できるということでは、まさに総合評価方式と言えます。

 区では契約については、最低2社の応募がなければ不調となりやり直される一方、指定管理者については、応募1社でもそのまま選定プロセスが進められています。1社だけというケースが、最初にも、また今回もありました。本制度の最大の特徴は指定する主体を最大限広げたことにあるので、単独応募を避ける環境づくりは検討していくべきです。

 たとえば、現在、ひとつの施設につき、事業者説明会は合同で実施している点について工夫できるのでは。たとえば書類などはインターネットから引いてもらう、また事前に質問を出してもらい、一斉にHPで公開する、説明会を合同で行わないなどして、区の主導で、応募を1社にする環境を減らしていくことで、競争性や公平性を担保していくことができるのでは、と考えます。