区では、指定管理者制度、業務委託、派遣の受け入れ、また、民設民営など、さまざまな形で民活を図ってきています。新しい公共が求められる時代にあって、民活の推進に際しては、庁内だけで決めるのではなく「この施設、また、このサービスは、誰がどう担うのが最適か」ということを、区民参加で十分に議論を尽くすプロセスが必要です。現状のアウトソースの手法について再検証すると同時に、特に、図書館や福祉施設における指定管理者制度拡大については、新年度導入される第三者評価によって、すでに導入した施設の財務・労務、区民の満足度などをチェックし、それを公表した上で区民と十分意見交換しながら、今後の方針につなげていくべきです。さまざまあるNPOの活動を再評価し、協働のパートナーとして積極的に連携をすすめていくことも重要です。事業の性格を見定め、江戸川区としての民活構想を改めて検討し公表するよう要望します。
4つめは、情報開示・説明責任についてです。
区民との協働というキーワードを持ち出すまでもなく、区民との情報共有はもはや大前提です。情報が共有されることで問題が認識され、公開の場においての熟議が展開され、結果、その解決につながります。事業の進め方も、これによって明確になり、区と区民の信頼関係も築かれていきます。行政の都合によって開示する内容を決めるのではなく、都合のいいものも悪いものもまずは開示することが、本来のあり方です。時に不満や不信が募ることもありますが、そのときに行政がなすべきは、一層丁寧に事実に沿った説明責任を果たすことです。情報なくして協働なし、と申し上げます。区として、説明責任を果たすための説明責任関連条例を整備することや、情報公開窓口の設置の検討を求めるものです。
また、学校における公費と私費についての見直しを行い、その性格に照らし、公費化する検討も必要です。総計予算主義に則り、行政の責任を明確にした上で、説明責任を果たしていくべきと考えます。
最後に、住民との合意形成についてです。
情報開示、説明責任の重要性については、先に述べた通りですが、特に都市計画事業、大型公共事業のように住民の権利義務に直接影響を与えることとなる行政手続については、その要請はさらに高まっています。住民がその事業を十分理解する、また、事業の確実な実現を図るという行政側にとっても、住民との合意形成は何よりも重要であり、住民合意の達成度を把握し、それを公開する姿勢が必要です。公共事業を取り巻く状況は時代の流れの中で変化することもあり、過去の成果をもって住民合意促進の根拠とするには無理があります。合意形成がなされないままに、事業プロセスが進められてはなりません。合意形成を図るという基本についての再考を求めるものです。
以上、区政運営の課題と認識する項目について述べてまいりましたが、新年度一般会計予算案につきましては、前年度比4.7%増となる最大規模の編成がなされ、新たな成長につながる新規事業を含むその内容は、厳しい財政状況にあっても、安心して暮らせるまちづくりを推進する姿勢の表れと受け止め、第一号から四号までの各予算案に賛成いたします。
ただし、一点申し添えます。
区が、一貫して、国のスーパー堤防事業と一体であると説明する区画整理事業については、住民合意の点において、また、区民、区当局、東京都、国、それぞれ統一の見解となりえていないことから、依然大きな問題意識を持つものであり、今後区民への丁寧で誠実な対応を講じるよう要望いたします。間違っても、公共事業への不信を、江戸川区から助長してしまうことのないようにと申し上げます。
これまでの審査を通し、改めて感じることは、江戸川区には「行政のことは行政に任せなさい」という体質が依然強いということです。行政機関ですから当然のこととも言えますが、地方政府における主権者は住民であり、施策に影響を受ける住民の意見が十分聴取・反映されなければなりません。住民参加の機会の拡大と、情報開示、説明責任の意識を高めることが重要であると、改めて申し上げ、生活者ネット・無所属クラブの総括意見といたします。