さて、「復興計画」に議会はいかに関わるか?
東日本大震災後、「復興計画」をつくる被災地では、庁舎がなくなった、首長や職員、地域のリーダー・団体役員などが亡くなった、あるいは被災者となった、など、時間的制約のみならず、人的資源の面でも大きな課題が出てきました。さらに、復興に向けた国の制度が確立しない中で、自治体としての意思を固め、計画づくりをすすめていくには、財源確保などの面における国や都道府県との関係性、地域の特徴や課題、これまでの施策展開、まちづくりの基本的なしくみなどを熟知する人材が積極的に参画していくことが有益。ならば、これにふさわしい人材には、地方議員も数えられて然るべきでしょう。
策定委員にならず、計画案を最終段階でチェック・修正をかけるのが通常の計画への関わりであっても、緊急性の高い、非常時の計画策定となれば、議員が策定委員になることも検討されるべきことです。
そうなった場合、議会からどの立場の人が、誰が委員になるか、ということを決めなければなりません。区長の諮問機関に入る場合、通常、江戸川区では会派構成人数の多い会派から、とか、所管委員会の正副委員長(これも第一会派と第二会派が占める場合が多い)といった選ばれ方がされていますが、これでいいとは思えません。
分科会では、被災地の議員から、「復興計画を議決事件にすべきかどうか」について質問がありましたが、紅谷さんからは「各会派が団結して一致するのであれば議決の意味はあるが、まとまらず、決まらないことで中ぶらりんの状態が続き、復興に支障が出る場合は議決事件としないほうがよい」との指摘がありました。総体としての議会力が求められます。
今月初め、ある被災地の計画策定に、地域活動を担う市民として参加している委員の方とお話しする機会がありました。計画の進捗状況をお聞きすると、「行政から出されるものがどれも中途半端。まだまだ時間がかかるだろう」。さらに「議員はどのように関わっているか」と伺ったところ、「?」という顔をされ、「議員には期待していない」とのお答え。まちの復興に向けた重要な局面であるにもかかわらず、議員は眼中にない?! おそらく、日頃から期待も意識もしていない、ということなのでしょう。何とも率直なご意見・・。
分科会では、今後の「復興計画」に望むことも提起されました。これまでの「復興計画」は、民間セクターの活動とのリンクはしておらず、行政以外については触れられないものでした。しかしこれでは、市民や企業からは、自分たちに還元するものは何なのかがわかりにくいという課題が残ります。これからは、行政がこの施策を実施すれば一般家庭や企業ではこういう再建をすることができる、といったわかりやすいストーリーを一緒に示していく必要があるということでした。
分科会後半では、長岡市議会議長・酒井正春さんが登壇。水害や中越地震で大きな被害を受け、「復興計画」を策定したときの特別委員会委員長の経験から、議会の果たした役割について話されました。長岡ではさらに中越沖地震に見舞われ、この間の市町村合併も経て、「復興計画改訂版」も策定しています。
今後も、首都直下型・東海・東南海・南海など、大地震の発生確率は高く、さらに広範囲に及ぶことが予想されています。どこの自治体でも、「復興計画」を事前に学習しておくことが復興への近道になるはずです。