これまで、原子力発電所の建設・稼働については、国と電力会社と立地自治体の協議によって決められてきました。しかし、先の大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所事故の影響は、当該住民、周辺住民の方々はもちろんのこと、原発から遠く離れた多くの人々の暮らしや健康にまで影響を及ぼすことを改めて知らしめました。
ここで、私たちがさらに意識すべきことは、首都圏民の電力供給のために、『東京』電力管内と言いながら、実は『東北』地方の福島や新潟、そして青森といった、『東京』から遠く離れた他県への原発建設について、一方の当事者でありながら、結果的にやり過ごしてきてしまったという事実です。
「東京電力」管内の原子力発電所の電力を最も使っているのは東京都民です。その東京都は「東京電力」の株を2.26%保有する大株主です。私たちは、この電力に関する最大消費者として、主権者として、今後の「東京電力」管内の原発稼働の是非について、関与していく責任と権利があると考え、これを行使するために、直接請求運動を広げていきたいと思います。
地方自治制度は「間接民主制」を根幹とし、私たちは選挙で選んだ議員に思いを託すことになります。同時に、地方自治法第74条には、住民自らの意思を直接表わす「直接民主制」が国民の重要な権利として定められています。この直接請求運動は、まさにそのひとつの方策です。「間接民主制」と「直接民主制」は補完・補強しあうものです。
この直接請求運動には有権者しか参加できませんが、都内有権者の50分の1、22万人の署名を2か月間で集め、「東京電力管内の原子力発電所の稼働の是非を問う東京都民投票条例案」が東京都知事に提出され、都議会で可決されれば、東京で初めての「住民投票」が実現します。本条例案では、投票資格者を16歳以上の都民と定めています。若い人こそ、将来のエネルギーについてここでしっかりと考えてほしいと思います。今後原発を稼働させるべきか否か、させるべきと考える人は賛成の欄に○、させるべきでないと考える人は反対の欄に○をして、ひとりひとりが投票行動で自らの意思を表明することになります。
乳幼児のいる方は、放射能汚染が殊の外気になることでしょう。しかし、街頭活動で気になるのはそうした方々の関心の薄さです。放射能は気になるけれど、政治には関わりたくない、という声も聞こえてきます。
未曾有の放射能汚染にさらされた私たちの不安は、この先も将来にわたり続いていくでしょう。放射能問題は、もとをただせば日本の国策、原発問題につながります。
この大事なテーマについて、誰に委ねるのでもなく、私たち住民の発意により、その意思をしっかりと表すことで、ひとりひとりが将来に思いを馳せ、責任を持つ。この直接請求の趣旨をぜひ共有していただけたらと思います。
そして、20歳以上の有権者が、まずは前段の直接請求運動に参加できない子どもたちの分まで、ひとりでも多くご参加いただけたらと思います。