どうなってる? 江戸川区の危機管理

その危機管理はどこまでカバーできているか

江戸川区では、従来の総務部内の危機管理室と土木部内の災害対策課を合併させ、本年度、部組織「危機管理室」を新設しています。未曾有の東日本大震災を教訓に、両者を統合することで、「災害」対策を強化したものです。「情報管理と発信を一元化し、迅速に対応することで区民の心配を少しでも解消していけるように努める」とは、新たに危機管理室長に就いた土木部長の弁。危機管理室長は土木部長が兼任しています。

これまで総務部に置かれていた課組織の「危機管理室」は自然災害のみならず、危機管理全般を所管していましたが、新たな部組織となった「危機管理室」は、完全に自然災害にシフトした格好です。

こうした組織改編の一方で起こった人災、一家心中では子ども2人を含む4人が犠牲になりました(詳細は新村さんのHP参照)。他の自治体からの転入直後であること、学校の欠席状況、子どもの異変への周囲の気付きなど、一昨年起きた児童虐待死と重なる状況もいくつも見られます。あのとき、区議会では集中審査を行い、私たち江戸川ネットも具体の提案をしました。一人の人間として子どもと向き合うために「子どもの権利」を学び直すこと、学校と家庭をつなぐ専門家・スクールソーシャルワーカーの活用、覚悟のない妊娠・出産を回避する性教育などです。当初、区は、関係者の意識向上で乗り切るとしていましたが、その後、対応する人員を増やすなど、やはり体制強化を図ることに。子どもの育ち、命に係わる危機管理は子ども家庭部、健康部、生活振興部、教育委員会などを横断し、区をあげて取り組むべき重要マター。それぞれ責任回避となってはならず、ここでも一元化が重要。一昨年再構築したはずの「子ども家庭支援センター」を核としたその体制が再度問われることは必至です。

放射能汚染への危機管理についても、区の対応の不十分さは否めません。学校や保育園施設でも、特に側溝などでの線量の高さは周知の事実。こうした状況から、学校にはこの2月、側溝清掃についての注意事項が書面で通知され、保育園には、園長会(全係長会)で口頭通知がなされています。側溝清掃は通常清掃の一環として実施されており、一昨年までは、側溝清掃で出た汚泥は、量の少ない保育園では、ごみや木屑などを取り除いてから園庭に戻されていました。が、昨年からは産廃業者に引き渡しており、23年度は26園分の汚泥が引き渡されました。教育委員会関係では、26校と1幼稚園です。

産廃業者は区内で唯一汚泥を取り扱っている事業者1社。危機管理室への聞き取りでは「事業者が独自の引き取り基準を設定しており、それより高いと引き取り不可となるが、これまですべて引き取られている。その基準は3月までは6000㏃/kg、4月からは3000㏃/kg」。基準を変えた、その判断を事業者に聞いたところ「昨年からずっと3000㏃/kg。区もわかっているはず」と回答にズレが。

「危機管理」は自然災害のみにあらず。とかくハード対策に力点を置きたがる江戸川区ですが、日常の、命に寄り添う「危機管理」を強化しなければなりません。