スーパー堤防事業への監査請求、篠崎住民からも

 江戸川区は、篠崎地区でも、緑地事業、区画整理事業及び都市計画道路事業と一体的にスーパー堤防事業をすすめるとしており、緑地事業では一部を除き事業認可も下りています。 

 認可された地区の緑地事業ではすでに全34件、6719㎡の用地買収契約が平成22年8月に完了していますが、認可外のエリアの合意は未だはかられず、区は、スーパー堤防事業に着工できるまでの間、買収した土地を緑地広場(お花畑)にし、区民の憩いの場として開放しようと暫定工事を行い、その代金の一部として15,094,800円を支出しました。 

 この件につき、7月、篠崎地区の住民から住民監査請求が出されました。北小岩の住民から提起されて以降2度目。スーパー堤防事業の着手も見通せない状況の中、あくまでもそれを前提としつつ、暫定的な緑地広場工事に支出することは不用・不当であるとの理由です。 

 新規のスーパー堤防事業については昨年、今年とも国土交通省としての予算は計上されていません。来年度以降についても、新規事業に予算を充当しない、との方針は変わりません。であるならば、区としても、そもそもすすめられず、今後も見通しの立たない事業にいつまでも執着するのではなく、この際、緑地広場を恒久的なものとし本格的な工事にすべき、との主張がなされています。 

 これに対し区は、「スーパー堤防事業は、当初の計画から1~2割に縮小されたが、江戸川区は残された1~2割に入っている」とし、あくまでもスーパー堤防事業を行う姿勢を強調しました。 

 つまり、大都市を守る治水対策として最大の有効策とされてきたスーパー堤防事業ですが、ほとんどの対象地区では不要との判断がなされたということ。堤防事業は、強固な築堤が連続施工されてこそ効果が発揮されます。しかし、スーパー堤防の場合、治水効果は二の次で、貿易不均衡を是正するのが目的の土木事業に過ぎなかったシロモノであることは従前からお伝えしている通りです。 だからこそ、国交省が旗を振れども、相乗りする自治体はごく一部に限られてきたのです。

 8月21日の監査委員会では、陳述人により「全体計画もなければ、予算規模も明示できないなど、日本に数ある長期計画の中でも唯一の特異な存在」であることが述べられました。これは、事業仕分けで明らかになり、国民があきれかえった顛末。会計検査院の指摘を待つまでもなく、制度そのものに欠陥がある事業であることは明白です。 

 9月29日までに、区監査委員会の判断が通知されることになっていますが、監査委員4人のうち、区長与党の現・元区議が3人。質疑は、この3人以外の識者委員からなされ、もっぱら区当局への質問に終始。陳述人に質問が投げられることはありませんでした。監査委員会の判断は推して知るべし?!