今も昔の「国土強靭化」 その予算、いいんかい?~みんなで予算委員会

 昨年、自民党が国会に提出したものの、廃案になった「国土強靭化基本法」が、再度提出される見込みです。既存の法律や予算措置で実行できることを、復興や防災を理由に新たな法律をつくり、公共事業拡大の根拠にする、その下心は見え見えです。公明党と協議修正の上再提出、ということですが、審議されることもなく廃案になった法案ですから、そう変わらないものが出てくると思われます。 

 昨年の法案を改めて見てみると、時代錯誤もはなはだしい内容に絶句してしまいます。中でも「国土強靭化戦略本部」の規定は圧巻?です。内閣に同戦略本部を置き、本部長は内閣総理大臣を充て、副本部長には内閣官房長官と国土強靭化戦略担当大臣が就き、全ての国務大臣が本部員に。 

 さらに、内閣府には、特別の機関として、「国土強靭化国民運動本部」が置かれ、国土強靭化国民運動が推進されることに。この運動とは、「国土の強靭化の重要性に関する国民の理解と関心を深めるための普及啓発活動、その他国及び地方公共団体が実施する国土の強靭化に関する施策に対する国民の積極的な協力並びに国土の強靭化の推進に関する活動への国民の自発的な参加を促進するための活動」なんだそう。同本部は、自治体や特殊法人など関係機関に、資料の提出、意見の表明、その他必要な協力を求めることができ、都道府県や市区町村は条例で「国土強靭化国民運動本部」を置くことができる、などとされ、「国家総動員法」と見まがう数々の文言がこれでもかと並んでいます。

   いわゆる住民参加ではなく、国や自治体の国土強靭化施策に協力せよ、と。ここには、今求められている老朽化対策の視点はなく、もちろん、環境保全の観点などあろうはずもなく、抑制し縮小されてきた新規開発をひたすら復活・拡大させんとするばかりです。

    安倍さんは、1月11日の会見で「昔の自民党のように無駄な公共事業のバラマキを行っているんではない」と、はからずも昔の自民党の非を認めてしまったわけですが、なかなかどうして、十分、今も昔、でしょう。「東日本復活5年計画」と「列島強靭化10年計画」を着実に遂行するための法律だそうですが、21世紀に、20世紀型の公共事業をするってことに他ならないでしょう。予測などできない自然相手になされる強靭な都市施設づくりは、何をもってよしとされるのでしょうか? 予測できる人口減少、少子高齢社会への対応こそが将来にわたる安定した国づくりにつながるでしょう。結局その体質は昔も今も変わらず。下野してなお、市民の思いを受け止められてはいないようです。

 さて、以前お伝えした補正予算が、今月中にも決定されてしまいそうです。今年度当初予算90兆3千億円のうち、公共事業関係費は4兆6千億円ほどでしたが、補正では総額13兆円のうち2兆4千億円と、その比率の高さが目立ちます。 

 その公共事業は無駄か無駄ではないか、優先順位が高いか低いかは、意見が分かれてしまうところでしょう。しかし、こうした中で、生活保護費が削られるなど、生活のセーフティネットは切り捨てられることに。税の再配分が、一部の人への税の還流になってしまっています。限られた貴重な予算の使途について、国土強靭化に血迷う政治家だけに任せるわけにはいきません。 

 そこで、公共事業改革市民会議のメンバーが立ち上がり、緊急院内集会「公共事業ありきの補正予算13兆円!?そのまま通して予算委員会(いいんかい)?」を2月15日に実施します。補正予算の定義は「予算作成後に生じた事由に基づき、特に緊要となった経費」(財政法29条1号)。衆参両院の予算委員や関係委員に市民が慎重審議を求める緊急集会です。ぜひご参加下さい。 

 緊急院内集会のチラシはこちらから ⇒ 13兆そのまま通して予算いいんかい