「新しい公共」、その持続可能性のカギは?~パネルディスカッションから①

15日(金)、NPO法人荒川クリーンエイド・フォーラム主催の「どうなる?公的市民参加の可能性~荒川下流における自然地管理の展望」をテーマにしたパネルディスカッションに、市民パネリストとして参加しました。行政からは国交省荒川下流河川事務所の波多野所長、企業からは住友生命調査広報部CSR推進室の濱本室長が出席されました。 

一級河川・荒川の管理者は国ですが、実際に国が予算をかけて管理しているのは、堤防と護岸など河川の整備。事実上河川敷は放置されており、江戸川区ではNPO法人荒川クリーンエイドフォーラム、下平井水辺の楽校、中土手に自然を戻す市民の会、そして江戸川ネットなどがそれぞれに関わってきました。一昨年、東京都が募集した「新しい公共の場づくりのためのモデル事業」に、これまで国の管理下にあった荒川の小松川自然地管理を市民が担う新しい公共の提案をしたところ、採択され、この1年間取り組んできたところです。前述の4団体と江戸川区土木部が協議会をつくり応募、実践してきたものです。その成果と課題のご紹介と共に、先のテーマで持続可能性を探るディスカッションを行いました。 

「新しい公共」は2009年の政権交代で民主党が打ち出した重要政策でしたが、この必要性を20年近く主張してきた私たちとしては、この政策を盛り込んだ鳩山さんの所信表明をワクワクして聞いたものでした。それまで官が独占してきた領域を市民やNPOが担うことで、必要とされながらも官だけでは実現できなかったところまでをカバーし、地域の雇用を生み出すことにもつなげ、地域社会をより良いものに変えていく――。この間、ネットがスローガンとしてきた「地域力・市民力 安心・共生のまちをつくる」(2003年)、「働く・育てる 市民力」(2005年)、「市民が育てる東京・未来」(2009年)は、このことを訴えたものです。 

実は、2006年に総務省が「新しい公共空間づくり」を提案していましたが、このときには「自治体経営の刷新戦略」なる副題が付いており、住民が取って代わることで行政の負担を減らす、という趣旨に、市民は大いに違和感を持ちました。コスト削減については、先述したことを行った結果の副産物としてとらえるべきものです。 

民主党政権下で内閣府が旗振り役となって各地でモデル事業が実施され、東京では39事業が実践されています。政権は再交代しましたが、地域で必要とされる事業を展開するにあたって、市民が参画しやすい環境を整えることは今後の方向性として変わるはずはないでしょう。(私たちのモデル事業は、昨年8月、新しい公共支援事業連絡調整会議関東甲信越ブロック成果報告において東京都の代表事例として報告されました。)

ただ、民主党が説いたことがすべてかというとそうではない部分も。公助は共助を支える側だとの点については、それだけではうまくいかないのでは。「新しい公共」を拡げ、確立するためには、共助でカバーできない部分について、支えるというより、最前線で関わるのが公助の役割としてあるでしょう。