丁寧な話し合いの前に「催告書」~スーパー堤防裁判緊急集会

90名を超える参加者が報告に耳を傾けた。新聞、テレビの取材も。

「無駄と言われる公共事業の中には、お金があればやったほうがいいと思われるものもあるが、たとえお金があったとしても行う意味がないのがスーパー堤防事業だ」

「ダムや道路事業に定められる収用のような手続きもなく、行政に求められるまま立ち退かなければならないことが、今の日本にあっていいのか」 

「いつまでに立ち退け、と実際に通知するなど江戸川区でも初めてのこと。なぜ今回このようなことになったのか。支援するというよりは、共に闘う」 

「スーパー堤防が無駄でなければ何が無駄か。今後、公共事業の大盤振る舞いが始まる」 

「約1/4の住民がすでに先行買収によりまちを出た。換地処分を受けた住民の中にも、そこに自分たちは戻らず、別の地で暮らすことを決めている人も多い。住民にとって、より住みやすいまちにするのが土地区画整理事業のはず」

「司法も現地視察を行った上で判断すべき」

「『明らかに合理性を欠くとまでは言えない』で片付ける、司法府とは何をするところか」

「司法は、住民に、事業の必要性がないことを証明しろと言うのではなく、事業実施を計画した区に対して、必要性の明確な説明を求めるべき」

  23日(月)、タワーホール船堀で行われた「スーパー堤防裁判緊急集会」では、会場を埋めた参加者から、行政、司法に対する怒りの声が次々と上がりました。

  江戸川区が定めた除却期限である12月16日の翌日から、区は、「1月末日までに必ず除却するように」という「催告書」を24人に手渡すことを始めています。このうち、事業に賛成したわけではないものの、建物調査はこれからという権利者も4名おり、移転補償契約を結んでいない方は8名という状況。この「催告書」には、「期限までに除却を完了しないときは、土地区画整理法77条第7項の規定に基づき、施行者である江戸川区が除却工事を行う場合があります」と明記されています。

   区は、判決後も「丁寧な話し合いをしていく」と述べていたはずですが、それがなされていないうちに、こうした「催告書」を突き付けるとはどうしたことでしょう?

 施行スケジュールでは、2014年早春にはスーパー堤防事業着手となっており、それまでに何が何でも更地にして、国に渡したいということなのでしょう。住民に約束した「丁寧な合意形成」より、国交省と約束した施行スケジュール優先。

「すでに除却・移転に応じた方々のためにも、スケジュールを守っていく」とは、区がよく口にすることですが、まるで、事業が遅延した場合の責任は反対住民にあると言わんばかり。しかし、事業は、そもそも住民が求めたことではなく、区が持ちかけたこと。区の意向に応じた方々も決して積極的だったのではなく、あきらめの境地がそうさせたケースがほとんどであり、今の外形的な状況だけを強調するのは責任のすり替えです。責めを負うべきは反対住民ではなく、合意形成を軽視してここまで強行してきた区当局です。本事業は、行政の、行政による、行政のための事業に他なりません。

 裁判は、東京高等裁判所へ。執行停止決定の即時抗告がなされ、明日にも取消訴訟の控訴がなされるとのこと。また、国との共同事業協定を結んだにもかかわらず、単独事業計画のまま「仮換地処分」を行ったことに対しての取消訴訟も東京地裁に提起されています。