「民主的な手続き」が泣く~スーパー堤防と一体の土地区画整理事業・予算特別委員会報告①
3日(月)に行われた区議会予算特別委員会土木費審査では、区の事業計画と国との協定の関係性についてただしましたが、明確な回答はありませんでした。(質問者は新村いく子区議)
事業計画変更案の手続きは、縦覧及び意見書提出までが終わっており、今後、東京都都市計画審議会に意見書が諮られます。5月に予定されている審議会には、この案件はかかっておらず、昨年は5月のあとは9月、11月に開かれていることから、おそらく9月頃かと思われます。事業計画変更案を決定するには、これを経ることが必須条件であり、それまでは計画は依然、単独事業計画のままです。しかし、新年度に入ればスーパー堤防事業が施工される予定はそのまま示されてきています。そこでまず以下の質問を。
「この状態でスーパー堤防事業を行うことはできるのか。できるとすれば、その根拠は何か?」
「事業計画と基本協定の関係性は? 協定の位置づけとは?」
回答)スーパー堤防事業は河川法に基づいて行う。事業手続によらず、(状況は)整っている。
肝心の計画と協定の関係性については答えきれていません。
事業計画があって初めて協定がある、と考えるのが妥当でしょう。これについては、国交省水管理・保全局治水課も同様の見解です。
法(土地区画整理法)に基づく事業計画は、協定の上位にあるものであって、当然、事業を行うにあたり、この整合はとれていなければなりません。そこで質問。
「不整合の現状についての見解は?」
回答)変更について、盛り土してまちをつくることは、もとと同じ。つくるものが変わったということではない。主体が国になったことで、手続き的には増えている。
同じ盛り土でも、区が区画整理事業として行う盛り土と、国のスーパー堤防事業として行う盛り土では、後者は権利者にとって地権の変更及び権利制限につながる事態。そもそも、国が主体となることは、設計の方針が大きく変わること。だからこそ、縦覧という法に定める手続きが発生したのです。
「では、事業計画を作る際、また、今回のように重要な変更をする際、公衆の縦覧に付して、住民や関係者が意見を述べる期間を設け、さらにそれが都の都市計画審議会で審議されなければならない理由は何だと考えるか?」
回答)民主的な手続きのひとつ。
2月の参議院総務委員会で、国交省技術審議官は「区画整理事業の手続きについては、関係権利者の権利保護の観点からの手続きである」と答弁しています。
「私人の基本的人権を守るため、法に定められた重要な手続きであることは、国も区も、誰もが同様の認識だ。この点を踏まえて、現状及び今後の施工についての区の見解を」
回答)国と協定を結んだあとの説明会で12月までの除却、28年5月の土地引き渡しなどの説明をしている。目標は変わっていない。その目標に向かっていく。
これでは、「民主的な手続き」が泣くというもの。結局は、住民の意見など関係ない、と言うに等しく、誰もが重要と認識している法のプロセスを台無しにしています。行政が重要な法の手続きを無視することなどあってはならないことです。