費用対効果算出のデータは?~江戸川区スーパー堤防差止訴訟第1回口頭弁論②

 法廷内がざわついたのは、国が出した費用対効果の証拠書類について、原告代理人・大江京子弁護士が言及したとき。

 「『利根川・江戸川直轄河川改修事業』の再評価における費用対効果については結果のみが示されているが、この算出のもとになるデータを」と求められた被告・国は「検討する」と。

 これに対し、八ツ場ダム裁判にも関わってきた西島和弁護士から、「すでに結果が出たものであり、示せるはず。データがあっての結果ではないか」

 しかし国は「ここでは回答しかねる」とし、結局5月1日に書面で出されることに。 原告側は、これも含めて反論することになりました。

 これまでの江戸川区を被告とした土地区画整理事業計画の取り消しを求めた裁判と大きく異なるのは、非常にわかりやすい展開であること。具体には、国が、法的権原を示せないまま事業を行っている、結果の根拠となるデータがあるのに公開をためらう、といった低次元の対応に終始しているということ。そして裁判長があからさまに被告に寄り添う指揮をしているということ。

 裁判後、参議院議員会館で行われた報告集会で、高橋新一原告団長は「篠崎地区の説明会で、国土交通省関東地方整備局江戸川河川事務所の担当課長は、『スーパー堤防事業に地権者の同意は要るか?』と問われ、『要る』と答えている。しかし、私は同意などしていない。聞かれてもいない。何なんだこれは?!」

 会場からは「国交省のその答えが正しいんだよ」との合いの手、「珍しく!」との声も。

 それにしても、法廷のマイクの性能の悪さといったらないですね。聞かれたくない、聞かせたくないとの作用からでしょうか? 今どき、地域の会館でも立派なマイクですが、東京の裁判所ともあろうところが。これもかなり低次元のハナシです。